干し芋タツマの商品一覧

2015年5月の“お宝ほしいも”

いまや美味しいサツマイモとして定評がある安納芋ですが、ほしいもにされることはまずありません。

薪ふかしは、ほしいも作りの重要な一つの「蒸かし方」の理想的な方法です。

干し芋は、サツマイモそのものの美味さをどれだけ引き出せるか、で味わいが違ってきます。
ほしいも農家はそこに苦心します。

多くの加工の工程の中で、特に気を配ることが二つあります。
一つ目は、原料芋をどれだけ糖化させるか、干し芋にしてどれだけ甘くなる原料芋にしておくかです。

二つ目は、その甘くなる可能性の原料芋から実際に甘さを引き出すことです。
そのためには、蒸かし方がポイントになります。
原料芋にじっくりと時間をかけて熱を加えることが重要です。

干し芋の作り方は、干し芋が誕生した江戸時代とほぼ変わりがありません。
加工工程がほとんど手作業のため、機械化される部分がほぼないからです。
しかし流石にすべてが同じということはなく、一番変わったことは、蒸かすための熱源です。
昔は薪を焚いていたのが、今はボイラーになりました。

実はこれだけでも干し芋農家の負担はかなり軽減されました。
ボイラーは100℃近い蒸気をすぐにいつでも取り出せるからです。
それに引き替え、薪を焚いていた頃はそうはいきませんでした。
干し芋の加工は冬ですから、まず氷水に熱を加えることから始まります。
それが少しずつ蒸気に変わり、原料芋に熱を加えます。

原料芋から甘さを引き出すには、ボイラーでも1時間半から2時間近くの時間をかけて蒸かすのですが、これが、薪を焚いてとなると、優に3時間は超えます。
釜に薪をくべてからだいたい4時間かけて蒸かします。
そこから皮むきやスライスが始まります。

ですから現在はどこの農家もボイラーを備えていますが、今でもこの薪ふかしという方法で干し芋作りをしている農家が少数ですが残っています。
なぜわざわざ手間をかけるのか?

それは、薪ふかしは干し芋の蒸かしには理想的だからです。
どんなに釜に薪をくべても、少しずつしか蒸気が上がりません。
原料芋の蒸かしはじっくり時間をかけることが重要です。
薪ふかしはその理想通りの蒸かし方になるからです。

今月は、紅マサリの薪ふかし干し芋です。
紅マサリは焼き芋用のサツマイモですが、干し芋にしても高品質です。
けれど干し芋用としてはほぼ栽培されていない品種です。

ほしいも産地でも数軒しか残っていない、薪で蒸かした干し芋の、しかも干し芋としては珍しい品種の紅マサリ干し芋です。

2015年5月1日 株式会社タツマ 福井保久