福井保久の二十四節気考

今年の3月21日は旧暦で2月21日、この日は春分(二十四節気)です。

ほしいも産地にいると都会の喧噪とは無縁です。
冬の夜は星空がなければ暗く長く、とにかく音がなく一人で農園にいると怖くなるほど静かです。
それが春分の頃になると夜明けも早く、それとともに鳥の鳴き声が聞こえてきます。

ウグイスの声はよく通りますし、近所で飼われているニワトリも暖かくなるといつの間にか鳴き始めます。
畑でよく出くわすキジの声もこの頃から聞こえてくるようになります。

育苗ハウスの前には、農園スタッフが育てている草花の中で早咲きの花が咲き始めるのもこの時期です。

「暑さ寒さも彼岸まで」とは言いますが、ほしいも産地では春分前後は結構寒い日があります。
けれど、鳥の声を聞き、花を見ると春になったなあと思います。

そして暖かい日を選んで種芋を蔵出しして選別作業をしていると、やはり春を、新しいシーズンを、今年の干し芋作りの始まりを実感します。
春分は干し芋農家にとっても、文字通り本格的な春のスタートです。

福井 保久