福井保久の二十四節気考

今年の4月5日は旧暦で3月6日、この日は清明(二十四節気)です。

清明の七十二候の初候は「玄鳥至(つばめきたる)」です。
親しい干し芋農家の何軒かの軒下には、毎年のようにツバメが来ます。
前年の巣を修復して使ったり、新しく作り棲むこともありますが、とにかく毎年決まった農家の下に来ます。

3月から苗床を用意して、種芋を伏せこむ(苗場に植える)のは4月上旬です。
その頃になるといつの間にかツバメがいます。

そこから1ヶ月半位の5月後半からが定植(苗を畑に移植する)です。
その時には大抵お腹を空かしている雛がいます。

そして10月に入ると収穫の準備です。
つるを刈ってから芋掘り、選別、芋拾いと続くのですが、11月上旬の霜が降りる前までを目処に芋の生産になります。
その間にツバメはまた南に帰っています。

苗の伏せこみをすると、いよいよ干し芋シーズンが始まった実感が湧きます。
定植が始まると、畑での本格的な農作業だと身が引き締まります。
収穫では、その年の干し芋がどんなものかがおぼろげに解ってきます。
ツバメが居る間はサツマイモの栽培で、ツバメが居ない間は干し芋加工に重なります。

今年も農家の庭先にやってきたツバメを初めて見た時にそんな干し芋の一年を思い返しました。

福井 保久