福井保久の二十四節気考

今年の4月20日は旧暦で3月21日、この日は穀雨(二十四節気)です。

普段干し芋のことばかり考えていますが、「穀雨」の言葉を聞くと稲作のことを思わずにはいられません。
また「穀」に纏わる麦や雑穀も同時に連想します。

この時期の干し芋産地の田んぼでは水がしっかりと張られ、田植え前の代かき(田植えができるように田んぼを整えること)が行われます。
昔の稲作では田んぼで苗を作っていましたから、気温が上がってきて雨も降るこの時期が苗作りをはじめる頃でした。今も昔も恵みの雨です。

サツマイモ畑ではこの雨を受けて輪作の麦が日に日に育ち、穂を付ける頃です。
他の雑穀はもう少しで芽を出し始めます。

穀物は生きる糧に不可欠です。
二十四節気では穀物に係る言葉が少なくありません。
「穀雨」もそんな要所を示してくれます。

そして干し芋農家には、冬の干し芋加工が終わり春先から準備した野菜が育っていくのに不可欠な雨です。

しかし雨が降るとまだ結構寒い日にもなる頃なので、肝心のサツマイモ苗や親しい農家が作っているメロン苗には厳しい環境になります。
もう少し大きく育って成苗になるまでは気が抜けないのが「穀雨」です。

福井 保久