福井保久の二十四節気考

今年の5月21日は旧暦で4月4日、この日は小満(二十四節気)です。

次の二十四節気の芒種までの16日間を三つに分けた小満の七十二候は、「蚕起桑食(かいこおきてくわをはむ)」「紅花栄(べにばなさかう)」「麦秋至(むぎのときいたる)」です。

小満は、陽気がよくなり、農産物や虫や鳥たちも、いよいよ盛んになっていく様が窺えます。

ほしいも産地でも、麦が穂をつけて色づいていくのでまさに“麦秋至”です。
また小満は、干し芋農家にとっては、苗を植える季節が来たことを告げる大事な二十四節気でもあります。

ほしいも産地は、親潮からの海風が一年中吹くので、気温よりも体感温度は低い土地柄です。
サツマイモの北限に近い気候に加えて冷たい海風は、芋にとってより厳しい環境で、苗を逞しく育てても、地温が十分に上がっていないと、苗が根づいて生長できません。

小満は苗を畑に出しても大丈夫という指標で、ほしいも農家は定植(苗を植える)の目安にしています。

ですから、ほしいも農家の苗作りは小満までにサツマイモの成苗が育つようにと手筈を整えます。

福井 保久