福井保久の二十四節気考

今年の11月8日は旧暦で9月27日、この日は立冬(二十四節気)です。

私事ですが、小さな田んぼで昔のままの稲作をやっています。
その稲刈りが終わったところです。
昔のままですから手で刈り、天日干しです。

手刈りした稲を目一杯握れるだけを、昨秋とっておいた稲藁で束ねます。
それを3束縛り、竹竿を組んだ稲架(はさ)に掛けていきます。

天気にもよりますが、10日から2週間天日干しで乾燥させてから脱穀ですが、脱穀も人力です。
“ガーコン、ガーコン”と音が鳴るので「ガーコン」と呼んでいる「足踏み式の脱穀機」を使います。

その後「唐箕(とうみ)」を使って、実が入っているモミ米と入っていないモミ米に選別です。
またその際に脱穀の時にモミ米と混じってしまった稲藁の切れ端等も選別します。

唐箕は脱穀したモミ米を上から落とし、それを風の力を利用して重さの違いで選別します。
落とす量と風の強さの按配が重要で、数回繰り返すと実入りが良いモミ米だけが残ります。

「唐箕」は江戸時代に使われ、「足踏み脱穀機」は明治時代に開発されて、この原理は動力が内燃機関になっただけで、どちらも現代の脱穀・選別機に引き継がれています。

立冬の次の二十四節気は小雪です。
昔は雪が降る前までに脱穀までを終わらせなければなりませんでした。
立冬はそのための指標だったことを実感します。

福井 保久