福井保久の二十四節気考

今年の6月5日は旧暦で5月1日、この日は芒種(二十四節気)です。

静岡市内を流れる安倍川の支流に藁科川(わらしながわ)があります。
天然アユが遡上する清流で、その上流で自然農の稲作をやっています。

自然農の稲作は、田んぼの中だけの環境で種から肥料もすべて賄い、しかも農機具(石油)は使わない稲作です。
昔ながらの稲作をイメージしてくだされば良いでしょう。

ほしいも産地も産地の近隣にある米どころの常陸太田市でも、田植えはすっかり終わり、「分けつ(稲の苗の根本から新しい茎が出てくること)」が始まっていますが、自然農の稲作では5月終わりから6月が田植えになります。

「芒種(ぼうしゅ)」というのは「麦の収穫時期」と「田植えの時期」を知らせる二十四節気で、昔ながらの自然農の稲作とは時期が重なります。

ほしいも産地の有機農園では、休耕させている畑の一部で輪作の麦を育てています。
有機農業は自然農の考えに近く、その畑で栽培する種はその畑で収穫することが原則となっています。
従って、種芋はもちろん、輪作の麦も自家採取します。
その麦の種採りがもうすぐはじまります。

麦に関しては今の農業でも「芒種」のお知らせとそう変わりません。
するとやはり現代の稲作は、5月の連休で田植え、9月の2度の祭日がらみで稲刈りという日程は、機械化が進んだことと、兼業農家が主流になった現れでしょう。

福井 保久