福井保久の二十四節気考

今年の10月23日は旧暦で9月4日、この日は霜降(二十四節気)です。

農家という者は、手塩にかけて作り上げた農産物には大変な想い入れがあります。
可愛くて可愛くて仕方がないものです。

今は、ほしいも用のサツマイモの収穫の真っ最中です。

掘り起こした芋を天日干しします。
このひと手間で、保存性が良くなるのと、ダメなサツマイモはこの間に腐ってしまうので、その見極めにもなるからです。

そしていよいよ収穫していくのですが、全部を収穫するわけではありません。
長めに育った形の芋、大きすぎず小さすぎない大きさの芋、そして芋の肌の綺麗さを観て、それらに適うモノだけを選別し、収穫していきます。
高品質の干し芋に仕上がるモノだけを選ぶのです。

ですから、出来が良い畑でも、掘り起こしたサツマイモの2割から3割は置いていきます。
栽培が上手くいかなかった畑では、半分以上収穫しないという所も珍しくありません。

農家としては「出来上がったサツマイモを全て干し芋加工したい」というのが本音です。
しかし、ここで心を鬼にして、「何としてでも良い原料芋しか収穫しない」という強い気持ちを持つことで、“本当に美味しい干し芋作り”ができます。
それが干し芋加工の第一歩でもあります。

福井 保久