干し芋タツマの商品一覧

2014年1月の“お宝ほしいも”

ほとんど生産されなくなった“静岡産兼六人参芋”を、手作りで栽培し、自社で仕上げました。

富士山の麓の富士宮市芝川町で作った静岡産ほしいもです。

あけましておめでとうございます。
本年も“干し芋のタツマ”をよろしくお願い申し上げます。
新年第一弾のお宝ほしいもは、とてもめずらしい、静岡県富士宮市芝川産の兼六人参芋の平ほしいもです。

国産ほしいもの生産量は、今では圧倒的に茨城県産が多いのですが、昭和の中頃までは、静岡県産の方が生産量が多かった過去があります。
茨城県の場合ほしいも産地は、ひたちなか市周辺だけです。
広い茨城県の中で半径5km近辺の本当に限られたわずかな地域だけが、ほしいも産地です。
それに対して、静岡県では県内の数箇所に干し芋産地が点在していました。
最も盛んだったのが御前崎市周辺で、そのあたりを中心に、天竜川から大井川までの遠州灘から駿河湾に至る長い海岸線沿いが干し芋産地でした。
それ以外の各所にも産地があり、富士川から東方面には生産量が多い地区がいくつもあったようです。

茨城産と静岡産では生産された干し芋にも違った特色がありました。
茨城産は産地が一点集中して、作られる品種も“玉豊種”が非常に多く、ほとんどが平干し芋という特色があります。
それに対して静岡産は、産地がばらけていて、品種も“いずみ種”と“人参芋”(人参芋とはカロチンを多く含むサツマイモの総称です)で、産地により分かれていました。
主な傾向として、西が“いずみ種”、東が“人参芋”でしたが、当然どちらでも両方が生産されていることもめずらしくなかったようです。
そして、人参芋は茨城産同様に平干し芋に、いずみ種は角切り芋にされるのが一般的でした。

しかし残念ながら、今では静岡県産の干し芋の生産量はとても少なく、県の西ではそれでも生産農家が残っていますが、東ではもう干し芋農家はないというのが現状です。
(静岡県東部の長泉町では町おこしのために、干し芋農家の育成を始めています。以前はサツマイモ産地で干し芋農家もいたのですが、現在は誰も干し芋生産をしていません。タツマは長泉町の干し芋での町おこしのお手伝いをしています)

弊社でも以前は静岡の干し芋農家とのお付き合いもありましたが、皆さん高齢のために生産をやめてしまいました。

単に干し芋を販売するだけでしたら、茨城県産だけで事足りるのですが、干し芋には伝統も歴史もあります。
それを考慮すると、静岡産がなくなってしまうのはとても残念です。
そこで、ほんの少しばかりですが、静岡産を扱って行こうというのが弊社の方針です。
その一環として作ったのが、今月のお宝ほしいもです。

前述しましたが静岡産ほしいもは、“いずみ種”と“人参芋”が主流でした。
弊社はためらいなく人参芋を作ることにしました。
理由は簡単で、“いずみ種”は茨城産の方が格段に品質が良いからです。
同じ品種とは思えないほど、いずみ種は茨城産が絶品です。
(茨城産いずみは干し芋の最高峰ではないかと思えるほどです)

ですからどうせ作るなら人参芋だと考えました。
人参芋にもたくさんの種類がありますが、品種の選定も迷いませんでした。
お宝ほしいもで何度かご紹介している“兼六種”です。
干し芋用の人参芋の中では、最も美味しい品種です。

富士山の麓、静岡県富士宮市芝川町でもかつては人参芋が作られていました。
平地がほとんどない山あいで、回りはお茶畑の中の畑を間借して、兼六人参芋を作付けしました。
小さい畑なので畝(うね)立てから収穫まで手作りで兼六人参芋を育てて、自社で加工しました。

国産干し芋は茨城産がほとんどです。
茨城の気候・風土が干し芋用のサツマイモに合い、仕上げる時の天候も干し芋に合うからです。
しかし、品種を選んで丁寧に栽培、加工すれば静岡産ならではの良さが味わえます。
今後とも兼六人参芋はじめ、美味しい静岡産ほしいもを少ないながらも作っていきたいと考えています。

2014年1月10日 株式会社タツマ 福井保久