2007年1月、日本初の有機干し芋が誕生しました。
私達が干し芋を扱う上で欠かせないのが有機干し芋です。

30年付き合っている干し芋農家でさえ、
「できるはずがない、やめろ」と言った。

農薬も化学肥料も使わずに、サツマイモを栽培するのは“不可能だ”と…。
確かに今まで“有機干し芋”を手掛ける農家はいませんでした。

干し芋を手掛けてから約30年、
50軒近くの干し芋農家から干し芋を仕入れていますが、
「有機干し芋を作ってくれないか」と頼んでも「無理だ」「駄目だ」と簡単に、全員に、むべもなく断られました。
私達は干し芋農家から、干し芋を仕入れて販売していましたから、干し芋を作ったことはありませんでした。
けれど、「誰もやらないなら自分でやるしかない」
2003年、自社で一から、有機栽培でサツマイモを栽培する所から、有機干し芋作りを始めました。
何故なら、今の世には有機干し芋は絶対に必要だと確信していたからです。

食の安全性は、人が生きるためには避けて通れないことです。
そしてアトピーなどで、健康を害する子供達が年々増えて行く中、
干し芋にも究極の安全・安心を求めている方が必ずいると確信していました。

決して簡単なことではありませんでした。
有機栽培は、自然環境を持続させて行く、循環型の農業を確立させなければなりません。
そのための課題は満載でした。

まずは農薬も化学肥料も使わないで育てた種芋の確保です。
そして、干し芋作りで出るサツマイモの皮を利用した堆肥もつくりました。
全てにおいて一般の栽培とはかけ離れた農業でした。

春に種芋から苗を育てます。病気にも害虫にも負けない健康で逞しいサツマイモ作りには、丈夫な苗が不可欠です。
夏から秋にかけては、毎日畑に出て草取りです。炎天下の除草は何よりも辛い農作業です。
有機サツマイモは、そんな私達の期待に応えるように一生懸命につるを葉を伸ばします。
しかし、最初の数年はほとんど収穫できませんでした。
そして試行錯誤を重ねて、やっとの思いで有機サツマイモを育てて、有機干し芋に仕上げることができたのは、2007年の1月でした。
国産干し芋としては日本初の有機干し芋の誕生でした。

たかが干し芋です。そこまで“有機”にこだわる必要はないのかもしれません。
夏の炎天下の中で、わざわざ汗だくになって草とりをしなくても、除草剤をまけばすぐに草だけが枯れます。しかし、有機栽培を続けてきたことによる充実感は得がたいものです。
それを、有機干し芋を楽しみに待ってくださる方と分かち合いたいと思っています。

人の営みの根本は農業です。
食に携わる企業として、どこまでも安心と安全を追求することが命題です。
そして健康を願い、美味しい干し芋作りに徹することが私たちの役目です。

私たちはこれからも永遠に食の安全と美味しさを求め続けて行きます。
大企業のような多くの人たちに提供することはできないけれど、
かかわりあう方達が笑顔になる干し芋を提供し続けます。

安全で美味しい食べ物は、人を幸せにできるからです。

干し芋でたくさんの笑顔を作りたいから。

株式会社タツマ 代表取締役 立間 博巳