干し芋タツマの商品一覧

2014年3月の“お宝ほしいも”

昨年ほんの少しの苗だけが干し芋産地に入った新しいサツマイモ『干し黄金(ほしこがね)平ほしいも』初出荷です。

まっさらの新品種「干し黄金」平ほしいもです。
玉豊の弱点を補った新しい干し芋です。

約50年もの間、玉豊(たまゆたか)は干し芋の主力品種として作り続けられてきました。
玉豊は干し芋に最適なサツマイモの品種として、ひとつの完成形だということが、改めて新しい品種を栽培し、干し芋加工してみるとわかります。

けれどもこの干し黄金も、『美味しいし、かなり干し芋適正があるけれど、一般的に普及するまでには至らないかもしれない』と思ってしまいます。

10年ほど前に「玉乙女」が干し芋用の品種として登場しました。
それまでも新しい品種は現れましたが、定着することがありませんでした。
「玉乙女」も干し芋として優れた品種でしたが、現在でもある程度の作付けに留まっています。
しかし、ある程度であっても定着するのは今までにないことでした。
それまでは、「玉豊」と「いずみ」以外で定着する品種はなかったからです。
それ以降、「紅マサリ」「ほしキラリ」「紅はるか」と新しい品種が出てきましたが、「玉豊」にとって変わることはなく、どれもある程度の作付けしかありません。

では玉豊はどんな所が干し芋用のサツマイモとしてひとつの完成形かということをご説明します。
それは4つの特性からです。

  1. 誰にも好かれる、くせがない強い甘さがある
  2. 収穫量が見込める
  3. 作業性が良い
  4. 保存性に優れている

玉豊は以上の4つの特性を全て備えていますが、玉豊以外にそれらを満たす品種が、なかなか現れないからです。

玉豊同様に古くから作付けされている「いずみ」は収穫量と作業性が玉豊よりも劣りますが、それを補う“美味しさ”があります。
だから玉豊でなく、いずみを選ぶ農家もいるのですが、一部の作付けにしかなりません。

「紅はるか」は今年度に作付けが急激に増えましたが、『収穫量』『作業性』『保存性』に劣るために、作付けが減ると予想しています。
紅はるかは、かなり美味しい干し芋です。
けれど、作業性はともかくとして、収穫量が悪いとどうしても作付けが減りますし、サツマイモにとって寒い冬を越せない=保存性が悪いとなると、農家としては作付けに二の足を踏んでしまうのです。
美味しいだけでは生産量が増えない例です。

それでは玉豊に弱点はないかと言われればそんなことはありません。
玉豊にも唯一弱点があります。
それは日照りの年は正規品ができる割合が少なくなることです。
たとえ同じ量の原料の玉豊を育てても、干し芋として出荷できる正規品が減ってしまうのです。

それを補うために開発されたのが「干し黄金」です。
今年度ほんのわずかですが干し黄金が作られました。
そこからの感触ですが、確かに玉豊の弱点は解消されています。
味も良いですし、作業性もそれほど劣ることはありません。
そうなるとやはり『収穫量』と『保存性』がどうかになります。
玉豊はこれがかなり優れているので、玉豊にどれほど近いかが問われるでしょう。

とにもかくにも美味しさは玉豊のクセがない強い甘さをそのまま継承し、しかもそれを超えている甘みが「干し黄金」にはありますから、タツマでは今後も積極的に、有機ほしいもとしても生産して行こうと決めています。

今月のお宝ほしいもはまっさらの新品種「干し黄金」平ほしいもです。弊社からの初出荷です。

2014年2月28日 株式会社タツマ 福井保久