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ブログ 今日のいもたつ

うなぎ 1997日 今村昌平

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妻を殺した男、愛しているから殺害して、
そこでこの男の人生は止まりました。

自殺未遂の女は、世間に流されて流されて、
でもそれなりに上手く立ち回った女でした。
でも生きていくことに疑問を持ち自殺を、
この女を助けたのが、男です。
女は大人ではありません。
自分の人生はまだ流されています

二人がたどり着いたのは、
平和な田舎町です。
ここでの何もなさそうな、
たとえば無邪気なUFOオタクとのかかわりや、
たとえば釣りを楽しむ出来事や、
女遊びに誘われる、
些細なことしか起こらない中で、
二人は少し変化します。

その日常に、女の過去の清算という大きな事件が否応なく訪れます。
女は覚悟を決め、
男は覚悟を決めざるを得なくなります。

男は、十字架を背負うことで、
止まっていた人生が動き出すところで終了です。

二人がこれから幸せになるかということは問題ではなく、
男がもう一度動き出すことができた、
それには些細なことの積み重ねが積もったことと、
十字架を背負う偶然があったからです。
でもそれを決めたのは男自身です。

人は息しているかぎり、仮死のままではいられません。
ただ、償いを自分で超えられないとして縛られていた男には、
払うべき大きな代償がない限り次の一歩がでなかったのです。

そういう機微を感じる映画でした。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時: 2012年03月27日 07:26