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ブログ 今日のいもたつ

気狂いピエロの決闘 2010西 アレックス・デ・ラ・イグレシア

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ピエロを演じることで、狂気な自己を抑えて生きている二人のピエロが、
本物の狂気のピエロになってしまう物語です。
二人はスペイン内戦とその後の独裁政権下のスペインのメタファーで、
彼らの狂気をスペインの近い過去の出来事と重ねます。
二人に翻弄されるヒロインは、スペインの人々として映ります。

全編、裏側に歴史を匂わせます。
それを前提として、目を覆うほどのシーンを繰り返し繰り返します。
だから破綻しているシナリオなのですが、それが狙いです。


狂気のピエロの一人は、笑わせることが出来ないほどの悲しみを背負い、
心優しい男ですが、悲しみと怒りがはちきれないばかりを心に秘めた、
いつか復讐を成すことを刷り込まれています。

もう一人の狂気のピエロは、子供の支持を受けるエリートピエロです。
笑われることで存在を確認しています。その反動は権力と暴力を振りかざすことで、
その二つでバランスを保ちます。

キーを握るのはヒロインです。
暴力のピエロの下にいます。仕方なく。
離れることができえない女です。
もう一人のピエロの登場は、離れる機会となりました。


彼らの態度、行動、考え、衝動的な生き方を、
彼女のいつまでも、悲劇から抜け出せない姿を、
監督は嫌ってほどみせます。
象徴とわかっていても、目を覆いたくなります。

それほどのことが起きていたことは、
直接に非情なものを伝えるよりも、より深く非情を考えます。
とても悲しいけれど、これほどのことが、
近い過去にあったということです。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時: 2012年11月20日 06:08