月別記事

ブログ 今日のいもたつ

2012年08月

滑川の有機農家視察

120811blog.jpg

今年も米の視察の時季になりました。
何度も訪れる田んぼですが、毎年違う顔です。

有機の稲作の大きな悩みのひとつがヒエです。
ヒエが多ければ当然収穫は減ります。
6月頃までの機械での除草で抑えるしかありません。
その後も手取りの除草をしますが焼け石に水です。

昨年まで少なかった田んぼにヒエが目立つのが、
今年の滑川の有機の田んぼの特徴でした。
それに負けずに稲も育っているというのも感じました。

ここから一ヶ月で稲刈りです。
穂がそろい、登熟していくばかりです。
順調に育って欲しいと農家ともども願うばかりです。

【米探訪記】

日時:2012年08月11日 07:39

故郷は緑なりき 1961日 村山新治

120810blogy.jpg

佐久間良子が主演の純愛物語です。
まだあどけなくて、可憐です。
セーラー服の高校生役ですが、
純粋で一途な役通りの可愛さです。

主人公の二人は高校二年で、
同じ街の男子校と女子高です。
男女恋愛が正々堂々と禁止されている時代(昭和25年頃)の話です。

メインは二人が密かに、けれど、
しっかりと将来(結婚すること)まで考えて、
勉強もしっかりとやっている高校時代です。

彼が東京の大学三年になっていて、
故郷の彼女に電報で呼び出される場面からスタートし、
なぜ呼ばれたかがわかり終わります。

二人はこれから、もう少しで念願がかなう時に、
突然、本当に唐突に彼女が急死して終わります。
純粋な二人が引き裂かれる残酷な終わり方です。

二人の雰囲気が、応援したくなる感じで、
最後がどうなるかと観ていたのですが、
あっけなく終わりました。

そのラストで何を感じたか。
人は愛する者がいるから律していられることでした。
人として真っ当でいられるのは、
信頼できる相手がいるからです。
そして、それだけで他は食べていければ不足なしです、本来なら。

ところが、人は相対的に幸せを望もうとします。
自分達だけが貧しいことに我慢が出来なくなります。
そして、もっと怖いのは、
相手に何もしないのを自分の怠惰と感じてしまい、
なんだかんだ余分なことをしようとします。
物にすがるのが良い例です。

ただいるだけが二人のためで、
それは変わらないのに、
相手のためになにかしないと、自分が居ることに意味がないと思ってしまうのが、
人の性なんだと、
純粋な二人を観て思いました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2012年08月10日 07:10

青べか物語 1962日 川島雄三

120809blogy.jpg

「洲崎パラダイス」では、ダメダメな主人公のカップルが、
街の人々と触れ合います。
「貸間あり」では、なんでもできる主人公が長屋の仲間と触れ合います。
そして、その主人公は川島雄三自身であると察しています。

この映画は、もっと大きい舞台、戦後の浦安(映画内では浦粕)の街中を舞台に、
そこの人々の生き様をとらえます。
そして、主人公の森繁久彌はやはり川島雄三の分身です。
けれど、東京から来た作家で、街の傍観者なので、
「貸間あり」の川島雄三とは違う部分の分身です。

傍観者としての視点で、街中を少し俯瞰しながら、
貧しい庶民を多くのエピソードを交え実に見事に表現しています。
川島雄三の映画となると点数が甘いかもしれませんが、
見事な作品です。

ここの一癖も二癖もある住人は、喜喜として生き生きと暮らしています。
時に爆発するかのような生き様です。
そこには先がないことを察している世紀末的な雰囲気もあります。
それを傍観しています。

これまでの川島映画でもその雰囲気がありましたが、
それが顕著です。
移りゆく時代、
良き浦安がなくなること、人情が希薄になることへの警鐘を超えた怒りを、
笑いに変えて映画に魂として吹き込んでいます。

随所のシーンでそれを匂わせて、ラストのショットで確定させます。

ただしただ憂いているのではありません。
世の中が変わることを否定ではなく、
冷めた視線で映像に収めているのです。
そして、そこにいる庶民(弱者)は一筋縄では行かない弱者ではない、
とエネルギッシュに描く、
川島監督の人に対しての熱い気持ちも伝わって来ます。

人なんてしょせん、卑しくて、自分勝手で、嫌らしくて、愚か、
だからなんだ。
それが当たり前なんだからそこから始めよう、
切ないエピソードもあるけど生きていれば色々あるさ、
この映画を観ればわかるだろ。
と自分を肯定された映画でした。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2012年08月09日 07:04

灼熱の魂 2010加/仏 デニ・ヴィルヌーヴ

120808blogy.jpg

中東のある国の内戦での悲劇をモチーフに、
暴力・復讐・怒りの連鎖をテーマにしています。

主人公は、双子の姉弟ですが、
彼らの母の生き様がこの映画の主です。
母が亡くなり、遺言で、姉弟には父と兄がいることを知り、
探すことになります。
その旅は母の人生と、争いの連鎖を追及する旅になります。
そして真実が明かされます。

非常に重いテーマに、オイディプス王の悲劇が重なります。
深く探求される内容が盛り込まれていて、
映画の進行もサスペンスのように惹きこまれる上手さがあります。
とても良い映画です。
ただ、ちょっと引っかかるのです。ほんの少しですが。

母の愛により怒りの連鎖が終焉することで物語は幕を閉じますが、
そこが腑に落ちないのです。
これは多分、中東情勢を知らなすぎるからだと思いますが。
また、実は母の死があり真実が明らかになる。
ここで連鎖が止まるのか、なにかここからが勝負とも思えてしまいます。

まあこれらはちょっと余計なお世話な感想だとも感じます。

物語が壮大な繰り広げられることと、
宗教の対立からの紛争の映像がとてもリアルな故に感じてしまうことも一因でしょう。

この映画はやっぱり、中東のある国の内戦での
『オイディプス王』であったことを私的には解釈しました。

追伸
昨日は「立秋」でした。二十四節気更新しました。
ご興味がある方は、干し芋のタツマのトップページからどうぞ。
干し芋のタツマ
二十四節気「立秋」の直接ページはこちら
立秋

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2012年08月08日 05:48

ひき逃げ 1966日 成瀬巳喜男

120807blogy.jpg

交通事故を扱った映画が多い晩年の成瀬映画の中でも、
題名どおり、交通事故そのものがテーマになっています。
けれど成瀬映画らしい、女の怖さが描かれます。
また、交通事故のシーンを省略していない点もめずらしく、
また、他の作品には観られない撮り方もしています。

子を失った主人公の高峰秀子が、ひき逃げの真犯人の司葉子を追い詰める、
その各所のシーンは女の怖さ、執念、でもやりきれなさを嫌ってほど感じさせます。
司葉子もひき逃げ以来の怯え方と、最後の悲劇の安堵の顔(演技)は特筆者です。
そして小沢栄太郎もこの人はなんて憎たらしいのでしょう。

交通事故という社会問題から入り、女の情念のサスペンスになり、
ラストに、主人公の辛い姿で、もう一度社会問題を提起して出口とした構成です。

成瀬映画としては異色かと想わせる感じもありますが、
同じ年代の「女の中にいる他人」と重なる人の内面が醸されている作品です。

成瀬巳喜男ファンでしたら、これも見逃せないでしょう。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2012年08月07日 07:33

新しき土 1937日/独 アーノルド・ファンク、伊丹万作

120806blogy.jpg

日本を欧米に紹介する映画です。
その主人公に抜擢されたのが当時16歳の原節子です。
原題は「侍の娘」で、
日本女性が持つ秘めた強さと良妻賢母プラス国際的な美しさで抜擢でしょう。

映画は、日本の名所巡りです。
次から次へ風光明媚な映像です。
それと、日本文化の紹介です。

物語はあってないようなもの。
欧米的な考えと日本の考えを折衷させている感じです。

そして、だいぶ強引に日本の満州国を肯定しています。
さりげなく、ハーケンクロイツも宣伝されています。

撮影はかなり綺麗で、
保存状態も良く、記録としての価値は高いでしょう。

もう一点、
円谷英二の特撮も楽しめます。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2012年08月06日 07:54

女の歴史 1963日 成瀬巳喜男

120805blogy.jpg

昭和10年位から昭和40年位までの東京と、
戦前戦後の混乱に巻き込まれ、
夫を戦争で亡くし、一人息子までも亡くす悲劇の女性の物語です。

まず、戦前から戦後間もなくにかけてのセットが素晴らしいです。
(他の成瀬作品同様ですが、際立っています)
そして、主演の高峰秀子は本当に素晴らしい。
他にも充実の役者陣です。

悲惨な出来事が続くのですが、
主人公の義母役の賀原夏子のコメディーな演技が、
場を和ませるのと同時に、真実味を感じさせる演出です。

戦前から迷走し、敗戦で価値観が変わり、
そして混乱、そして立ち直る日本の姿も、
この映画に出てくる強くて逞しい女の姿と重ねているようです。

ラストも生きる辛さを切り抜けることの貴さと、
希望が込められています。

鑑賞後もジーンと来る映画です。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2012年08月05日 08:16

アニマルキングダム 2010豪 デヴィッド・ミショッド

120804blogy.jpg

犯罪者一家から抜け出した母が、薬物中毒で亡くなり、
主人公は、母の実家の犯罪者一家に戻ります。
そこで生き残るためには、ボス猿になるしかなかった。
(最後にわかります)

終始、主人公(少年)のみが脅かされます。
犯罪者一家の邪魔者として、警察の邪魔者として、
その宿命をどう受け止めているのか、
そもそも受け入れているかもわからないのが無機質な主人公です。

何故無機質なのか?
そのヒントは冒頭の母が亡くなるシーンで、
主人公のキャラクターを匂わせていますが、
予想もできないラストにつながっていましたが、
唖然として終わります。

異常な一家であることは冒頭から様々なエピソードで
知らしめますが、その異常状態はエスカレート、
正確に言えば、怖さが分かってきます。

その状態で主人公の少年は本能と、
生い立ちからの嗅覚で嗅ぎ分け、
決断と行動をとります。

ラストですべてがまとまる
頭をガツンとやられた映画でした。

追伸
昨日8月の「毎月お届け干し芋」出荷しました。今月のお宝ほしいもは、“安納芋四切りほしいも”です。
ご興味がある方は、干し芋のタツマのトップページからどうぞ。
干し芋のタツマ
毎月お届けの「今月のお宝ほしいも」の直接ページはこちら
今月のお宝ほしいも

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2012年08月04日 08:14

ドライブ 2011米 ニコラス・ウィンディング・レフン

120803blogy.jpg

主人公は、どこまでやれる男かが謎のまま進み、
終わります。
ただひとつ、主人公の今までの人生の中で、
宝石のような一瞬のただ一度の営みだけが、
主人公にとっての人生だった事だけがこの映画の答えのようです。

そこには、損得はありません。
主人公は理性を度外視した、
体がいうことをきかないそんな時を求めていた、
それ以外には説明できない物語でした。

愛した女を大事にしたい。
そのために全てを捧げるという、
純粋さの気持ちと主人公の行為は、
常人には理解しがたいし、
できない行為です。

けれど、その気持ちは汲み取れるし、
理性を度外視したくなる気持ちもわかります。
それを伝えるのにしては大袈裟でしたが、
映画全体を通した、
鮮やかな被写体の捉え方から、
その気持ちが十分に感じられました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2012年08月03日 07:52

ふ入りのハクザ

120802blog.JPG

有機農園のどの畑にもいる草のひとつがハクザです。
一本のハクザが横へ横へと広がります。
根元の根はかなり畑深くまで伸びます。

サツマイモのつるの首根っこに生えているのもあり、
それなどは抜くのが厄介ですし、
つるの近くにハクザがいると、サツマイモはまず育ちません。

そんな草で、もちろん畑にたくさんいるのですが、
ふ入りのハクザを見つけました。
野草好きなスタッフから言わせると、
これはとてもめずらしいそうで、
持って帰りたいとのことです。

その価値がわからない者には、
ただの色が薄い雑草です。

【芋日記】

日時:2012年08月02日 07:22