いもたつLife
【大歌舞伎 八月納涼歌舞伎】

一、 男達ばやり(おとこだてばやり)
粋な江戸っ子を茶化している喜劇です。
口に出したことは何があっても、命をかけても意地を通そうとします。それが面白いし、江戸という時代が懐かしくもなります。
この演目は大正15年初演の新歌舞伎で、きな臭い時代だったからこそ、このような喜劇が生まれたのでしょう。
二、 猩々(しょうじょう)/団子売(だんごうり)
二つの舞踊を、幸四郎、勘九郎の二人が続けざまにみせてくれます。
猩々は酒飲みの舞、そして尽きない酒壺酒が好きなら自分を見ます。
団子売は夫婦の舞、こちらも息が合っています。
堪能しました。
【いもたつLife】
パウル・クレー展 静岡市美術館

パウル・クレーの初期から晩年の作品だけでなく、交流があった芸術家の作品も数多くありました。
年齢だけでなく、第一次大戦や第二次大戦前夜の社会情勢が作品にも現れていることが分かりますし、晩年はクレー自身が死期を悟って描いた作品もあります。
けれど、一貫して自分の表現を追い求めて行った姿勢が感じられ、様々に具現化していたこともわかりました。
初期の作品にも驚くような表現がありますが、それが進化していきます。
表現をしたいという源泉はかなりのものがあったのでしょう。そして沸き出てきたのでしょう。
2時間でも足りないほどの見応えがある展示でした。
【いもたつLife】
グランシップ伝統芸能シリーズ 国立劇場 歌舞伎鑑賞教室

前半は歌舞伎、忠臣蔵の解説、後半は、『玩辞楼十二曲の内「土屋主税 一幕二場」』
第一場 向島晋其角寓居の場/第二場 土屋邸奥座敷の場
の上演です。
解説は全くかしこまっていません。歌舞伎の解説というよりも、忠臣蔵について親しみやすくなるようなトークです。もちろん「土屋主税」のことが中心です。良かったです。
後半の「土屋主税」は、当時の江戸での赤穂浪士の討ち入りを庶民がどう受け止めているか?が描かれます。
前半の解説に通じています。
忠臣蔵は創作部分もありますから、この話の登場人物の心情はどこまでが真実に近いかはわかりませんが、この脚本が当時人気であったことは事実ですから、そこは大変に興味深いです。
下手すればプロパガンダに用いられてしまいそうな危うさや大衆心理の怖さを感じます。
けれど、喧嘩両成敗にならなかった理不尽、主君を慮る気持ちに心動かされていることもくみ取れます。
それはさておき、とても面白い演目でした。
【いもたつLife】
教皇選挙 2024米/英 エドワード・ベルガー

教皇選挙の舞台裏です。その映像だけでも力が入っています。
教皇は世界で一番有名になるという台詞があるようにその影響は多大です。
そのコンクラーベを仕切るのが主人公で、その苦悩が描かれます。そして、その中で渦巻く欲望も大きいモノで、それをサスペンスとして仕上げています。
ラストは予想とは少し違いましたが、現代的でした。
全く変わらなさそうな宗教的価値観も変わるかもと言う示唆は、価値観はゆっくりかもしれませんが、変わっていくことを謳っていました。
【いもたつLife】
spac演劇ラーマーヤナ物語/演出 宮城聰

この劇は仕掛けが満載です。作り手が観客を楽しませるためにです。びっくりもさせてくれます。
初日はそれを満喫しました。二度目の観劇はそれを踏まえてですから、もっと細かいところに気を回せます。
今回特に歓心したのが、役者の表情です。仕草、動きで表現する、それが一度目よりもじっくり観ることができました。、ハヌマーン(たきいみき)のピエロのような表情や猿たちの機微等です。そういったムーバーだけでなく、スピーカーもです。ラーマの実加里、そのスピーカーの本田麻紀の繋がりがある表情、ラーヴァナの大高浩一と吉植壮一郎の怒りや力強さも同調しているようです。
これは私の場合は二度目の余裕がるから観劇できた収穫です。
やはりspacの新作は二度は観たいですね。
【いもたつLife】
spac演劇 ラクリマ、涙 ~オートクチュールの燐めき~/演出 カロリーヌ・ギエラ・グェン

ルワンダでフツ族とツチ族が争うのは欧米(先進国)の利益が作りあげてしまいました。その利益は正義とか国際ルールと呼ばれています。この劇もその構図です。
これに大人になれない自分勝手な大人が我儘いいほだいなのだからより始末が付かなか唸ります。
そのどちらにも共通するのは弱き者を支配する力が働いているところです。
劇はその場を見せながら、離れた空間を大きなモニター三分割して、今では当たり前になっているリモートで結び付けています。ではこれで何が変わったか?
やはり強き者の方が恩恵が大きいと感じます。
劇はまた伝統工芸に光を与えています。その光(燐めき)が輝いているだけ影があることも示唆していいます。
脚本が上手くて、展開にずっと引き付けられます。全く長さを感じない3時間でした。
【いもたつLife】
spac演劇 叫び/演出 小島章司

落語の一門会のように、小島章司さんを真打に総勢10名のでのフラメンコです。
身近に観たのは初めてで圧巻でしたし感激でした。
多分観客がもっと熱く声援を送るのが嗜みかなとも感じました。
歌舞伎の「大向こう」のようにです。
貴重な時間を過ごせました。
追伸
5/5は「立夏」です。二十四節気更新しました。
ご興味がある方は、干し芋のタツマのトップページからどうぞ。
干し芋のタツマ
二十四節気「立夏」の直接ページはこちら
立夏
【いもたつLife】
spac演劇 ラーマーヤナ物語/演出 宮城聰

とても大規模な紙芝居でした。そして楽しい。
いつもspacの美術は素晴らしいと歓心するのですが、このラーマーヤナ物語は美術ウスタッフの勝利というのが感想です(もちろんムーバーもスピーカーも演奏も良かったです)。
衣装は今回も凝っています。もうこれが私の中ではラーマーヤナ物語の標準キャラクターです。
紙芝居と言ったのは、ただの平面の舞台を大道具小道具で森、宮殿、海、島、空に変えます。また、怪鳥ジャータユスや小さく変身したハヌマーンを人の足で表現する上手さに脱帽です。
この具現化に至って、演出の宮城さんと役者とスタッフがきっと、あれやこれやとアイデアを出していったその空間に私も立ち会いたかったと思うばかりの観劇でした。
【いもたつLife】
spac演劇 マミ・ワタと大きな瓢箪/演出 メルヤン・ニヤカム

一時間の楽しいダンス劇です。
屋外のこの日本平の舞台はいつも夕暮れにかけての上演です。暮れていく空間がダンスに映えます。
マミ・ワタは女神だそうです。
この演劇を観終わってやんちゃな神様が下界に降りてきて人に悪戯しながら気が済むまで遊んで行った、そして人間たちに安らぎをもたらしたと解釈したのですが、女神ということで納得です。
その踊りは、綺麗な女優の映画の一シーンを連想させたり、歌舞伎を思わせたりもします。私が気が付かないだけで、世界各地の踊りの要素が入つていたのでしょう。
また、観客を巻き込んでのパフォーマンスが3つあり楽しさを演出します。
瓢箪を配り回収は序の口。「八十八夜」の合唱を促します。ラストは自らがキャンパスとなり観客に体に色付けをします。
そして修行僧になり終わります。
楽しい観劇になりました。
【いもたつLife】
spac演劇 <不可能>の限りで/演出 ティアゴ・ロドリゲス

国際赤十字と国境なき医師団の人道支援をしている人達に取材した内容が演劇として再現されています。
それはそれは壮絶な吐露を、4人の役者がします。そしてそこは物資は不足しています。なにもないキャンプのようなセットのなかではドラムを叩く一人の演者がいて、その音は爆音のようです。
4人の語りは凄惨な出来事ばかりです。聞いていて(字幕を観ていて)想像すらできないことばかりです。言っていることはもちろん理解できますが、それが肌感覚として現実を纏うことができないのです。
でも寒気を覚えるのだから、自分の体は震えています。
どこかで起こっている事実と同じ世界に生きていることを知っていなければなりません。
【いもたつLife】