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ブログ 今日のいもたつ

2009年01月

肉体と悪魔

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1926年の無声映画です。
主演のグレタ・ガルボは当時20歳か21歳ですが、
とても大人っぽいのに驚きます。
彼女の出世作だそうですが、すでに大女優の気品があります。

物語はガルボを絡めた、男の親友ふたりの友情と愛情が
描かれています。

フェリシタス(ガルボ)は二人の男を求めます。
男二人はフェリシタスに振り回されます。
大きく欠けているものがあるのですが、自分ではわからないのでしょう。
男のうちの一人には妹がいます。
フェリシタスが持つ美貌は持っていませんが、
フェリシタスに欠けているものを持っています。

そんなストーリーも面白いのですが、
見所はやはりグレタ・ガルボです。

姿、かっこう、仕草、せりふ、すべてにおいて男ならひきこまれます。
そして、場面場面で違った性格を現す表現力が素晴らしいです。

ガルボを含めた、キャスト陣の顔(特に目)の演技は、
サイレントならではでしょうか。
少ないせりふを充分に補っています。

【いもたつLife】

日時:2009年01月31日 07:40

破戒

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なんていうレベルの作品なんでしょう。
感動しました。
もう観て欲しいとしか言えません。

けれど少々感想を。
市川雷蔵が生徒の前で部落民だったことを告白するラスト、
固定カメラでとても長い台詞を見事に演じます。
素晴らしい演技です。
そして、その時の先生の言葉が良いのです。

いつも思うのですが、少し古い日本の言葉は
“ものすごく綺麗で、深みや優しさ”があります。

そして、明治時代の教師を再現しているのですが、
まさに教師の鑑という感じです。

ここからラストにかけて感動してゆくのですが、
この感動の奥に本当にいろいろと考えてしまうことが多い作品でした。

きっと社会は、ほんの少しずつですが、良くなってゆきます。
そんな人間の可能性がある、
悲しいけれど希望がある映画でした。

【いもたつLife】

日時:2009年01月30日 07:02

こころ

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高校の頃、国語の授業で「こころ」を取り上げました。
不真面目な私は、「こんなのやってられねぇ~」と
突っ張ったのですが、なぜか同じ不真面目仲間は皆、
「こころ」に惹かれ激しく議論を。
ひとり蚊帳の外の思い出があります。

今回は原作でなく映画ですが、その頃を思い出しながら鑑賞しました。
高校の頃だったらどう思うのだろうか?
そんなことも考えました。

これから生きる年代と
ある程度生きてきた年代ですから、
思うところは違います。

では今の自分は?

誰もが犯しやすい過ちは、条件がそろえば犯しがちです。
少なくとも過ちを犯す多くの条件がそろわないで、
ここまで生きてこれたことは、とても幸運だったことに
ありがたさを感じています。

【いもたつLife】

日時:2009年01月29日 07:41

ベラミ

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本当に自分が生きたい生き方をするのは難しい。
この映画を観て思いました。

主人公は、成り上がってゆきます。
何ももたない平民から、上流階級の金も地位も名誉もある所へ。
なりふり構わず、結果だけを求めて。

己の野望を成すのは、それはそれで、深い欲を満たすものでしょう。
しかし、根本とは違う生き方は永久に満たされません。

主人公は悪なのに、凋落しません。
最後まで君臨しています。

観ているものにとっては、悪が凋落してゆく方が“すっきり”します。
しかし、この男にとっては、みてくれの栄光を極めていったって、
いつまでも満たされないのですから、
凋落しないのは、かえって地獄なのではないか!
それを強く感じました。

【いもたつLife】

日時:2009年01月28日 07:10

姿三四郎

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一人の男が強くなることを求め、
次に精神的な成長を遂げ、
名を成すと次にはまた試練が待ち、
そして、道は続いてゆきます。
ストーリーは古典的です。

黒澤監督のデビュー作、そして、完全版ではない状態で公開、
そして戦時中の作品。と、
観る方が観る前にいろいろ考えてしまいます。

しかし、場面場面を説明するのではなく、映像と音響で表現する所は、
物語を盛り上げています。黒澤映画として遜色ない出来だと思います。

戦時中に作られていますが、日本の精神の元を表現しています。
柔道という“道”から、師弟・親子関係、
ライバルと自分の立場があっても行なわなけらばならない行動、
とその心の試練、そして戦った後に友となる関係
もうひとつ恋愛とそのの表現方法。

私は戦争を知りません。
話を聞き想像するしかありません。
当然暗黒な部分が生活の大半を占めていたのを察しています。
しかしそんな中、こういう映画を撮っていました。
これも戦時中の事実です。

人の生きる力、この映画を鑑賞して、
それも想像できるひと時でした。

【いもたつLife】

日時:2009年01月26日 07:13

早春

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笠智衆が東京に出張に出てきて、部下の主人公の夫婦宅に泊まります。
ホテルをとりません。

小学校の頃、夏休みや冬休み春休みになると
母親の実家に遊びに行ったものです。
時々そこに大阪から東京に出張する叔父と会うことがありました。
東京でホテルをとらず、静岡の実家に泊まり、翌朝出張先に向かうのです。

これは個人的体験ですが、総じてこの映画全体と重なりました。
懐かしく(鑑賞する方の年齢にもよりますが)
ひとことひとことが優しい雰囲気です。
当時の慣習や仕草が新鮮にも感じます。

いつもながら小津作品は完璧を思わせます。
毎日でも小津映画をみたくなる麻薬性もあるようです。

そして、この早春は先見性がある作品です。
「今の世の中そんなに良いところはない」
「間に合うってことはつまんないことね」
「もう誰もあたしに文句を言ってくれる人はおりやせん」
「おるべき時に降りないと、とりかえしのつかないことになりますよ」
「いろんなことがあって本当の夫婦になるんだよ」
印象に残る台詞がさらりと言われています。

昭和30年代の上り坂の日本、
その中の歪みが描かれています、どこにでもある出来事の中に、
とても深く。

今日は「パンよ」と妻が言います。
「パンなんだ」夫がつぶやきます。
冒頭のやりとりです。
ここまでのシーンとこの言葉でこの時代を現し、物語を予言します。

ラストは
「あっ、いくわ、汽車」
物語をしめくくる象徴的な言葉でした。

【いもたつLife】

日時:2009年01月24日 07:33

ハムレット 1948

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ローレンス・オリヴィエの熱演と
カメラワークの秀逸さが印象的でした。

ご存知のとおり、物語は悲劇です、皆死んでしまいます。
先王が毒殺されたことがきっかけで。
その憎悪は誰もいなくなるまで続きました。

劇中ハムレットは、亡き父の思いを果たすことと、理性と、
自分の憎悪と、母や恋人の気持ちに、成すべき行動をどうするか
非常に思い悩みます。

人は生まれてから、一人ではありません。
多くの人と絡み合いながら、関係を重ねて生きてきます。

ハネムーンという言葉があります。
「私は出会ったばかりから、だんだん冷えた関係になる」
という意味があると思っています。
これを前提に良い人付き合いをしたゆきたいと考えています。

ハムレットを観てもそう感じました。

【いもたつLife】

日時:2009年01月23日 07:23

差し入れ

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男やもめにウジがわき、女やもめに花が咲く
のごとく、
茨城にいるときは名ばかりの自炊をしています。
タツマは米屋でもあるために、
なんとかご飯は炊きますが、それだけ。

それを知ってる親しい ほしいも農家がよく
おかず(おつまみ?)を作ってくれます。

今回は、煮物。
サトイモ、イカ、ニンジンです。
こういうの本当に嬉しいですよね。
普段スーパーのお惣菜に頼っているのでなおさらです。
これにおせんべと漬物付きでした。
(好みをすっかり知られています)

今、真冬のこの時季は、ほしいも仕上がりの最盛期。
忙しい中スーパーに買出しに行けそうにない日でしたので、
特に嬉しく書き込みました。

ひとりごとでした。

【芋日記】

日時:2009年01月22日 07:08

ヘル

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人それぞれなのであくまで私の考えですが、
夫婦というのは戦友のような関係ではないかと
思うときがあります。
親子の絆とはまた違う関係があります。

主人公が独房で絶望の中、
蛾(蝶かも)に亡くなった妻を想います。
とても良いシーンです。

一緒に生きていた記憶や、存在していた真実があったことが、
一番の支えになります。

こんな夫婦になる生き方をしてゆきたいです。

【いもたつLife】

日時:2009年01月21日 07:05

ネバー・ダイ・アローン

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人間が作り出したものには、
善のものと悪のものがあります。
天使のような人もいれば、悪魔のような人もいます。
一人の人間の中に、その両方があります。

最悪の主人公の中の善・天使は何だったのでしょうか?
更正しようと思った心でしょうか。

その心が善であったにしても、
その善がより大きい悲劇を生んだように思います。
結果は悪と憎悪の連鎖ができました。

自分の中のそのときの感情をすっきりさせるための
小さな善は日常茶飯事です。
相手の事情も本来に立ち返っていない
おせっかいみたいな善は時に悪に通じることがあります。
この映画ではなく、普段の生活で。

そんなことを気づかず自分は善人と自己満足している行動があります。

【いもたつLife】

日時:2009年01月20日 07:03