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ブログ 今日のいもたつ

天使の分け前 2012英/仏/白/伊 ケン・ローチ

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日本に生まれてよかったという時代が長く続いています。
今もそれは変わらないですが、その価値は変化しています。
まだまだ裕福な日本で生まれたことはそれだけで幸せです。
でも将来、未来永劫にそれは続きません。

同じことが、日本よりも早く繁栄したイギリスでも起きている。
イギリスに生まれたら、やっぱり幸せだと思います。
けれど、所得格差、階級格差が広がりつつあるようです。
都会と地方での温度差はあるのでしょうけれど、 この映画の舞台グラスゴーでは、
どんなにあがいてもなかなか這い上がれない若者達を主人公として
、 そんな社会の現実を映します。

主人公には生まれたばかりの子供がいて、若くて綺麗な奥さんがいて、ですが、
職がない。就けないという状況下です。
ある時、犯した罪の償いでの社会奉仕中に、保護司の立場の人の導きで、
ウィスキーのテイスティング能力を開花させる主人公です。
その能力を遺憾なく発揮して、人生大逆転に挑みます。
その方法が、正攻法ではなく、裏社会での工作です。
このあたりも、イギリス社会の現実を映すかのようです。

けれど、その過程は明るくコメディタッチで、
良いか悪いかは別にして、暗さはありません。
若者の立ち直りを祈るような演出です。

まあまあ犯罪とはいえ、ゆるされるような感じ、しかも保護司に恩返しもしますから。
そういう意味では、頑張っている若者に光を。という感じなのですが、
個人的にはどうも腑に落ちませんでした。

自分も人のことをとやかく言えない、負を犯した過去があるから、
主人公達が挑む、犯罪であっても一発逆転には共感できます。
けれど、主人公の最後の酒樽への行為だけは“個人的に”許せませんでした。
まあそれは私が“酒呑みだから”なので、そこまで酒中心に考えなければ、
十分に楽しめる映画でしょう。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時: 2013年08月12日 07:33