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いもたつLife

ほろ酔いばなし 酒の日本文化史 横田弘幸 著

古代から近代まで、日本酒がその時代のどんな存在だったか、嗜好品として、経済や税制に置いて、一話完結でリズムよく描かれています。そしてどんな品質だったかもです。
日本酒大好きな者として、とても興味深い内容で面白かったです。
想像していたよりもかなり早い段階で、かなり高品質な日本酒ができていたというのが印象的でした。
元々日本酒は日本文化の中でも重要なポジションにいるというのが自論で、伝統的に造られている日本酒を誇っていましたが、その考えも後押しされました。

【いもたつLife】

日時:2023年11月23日 12:39

ラブカは静かに弓を持つ 安壇美緒 著

この本を題材にした、著者の安壇さんを交えたチェロ演奏とトークのイベントに参加して、この本も手に取りました。
そのイベントでの横坂源さんのチェロ演奏が素晴らしく、読み進めていて、チェロ場面では音が響き、主人公の橘の心情、特に苦しむ展開では優しいチェロの音を聴いているようでした。
物語はスリルがあり、サスペンス要素もある、そして読みやすくて面白かったです。
大人の都合の社会的なテーマ、著作権をめぐる顛末に、映画や音楽を絡めて、また主人公の橘のトラウマからの脱却も織り交ぜてながらも、とても上手く纏めあげています。
孤独を決め込んでいた橘を通して、この世の中棄てたもんじゃないというのも共感が持てました。

【いもたつLife】

日時:2023年11月18日 14:44

【11月大歌舞伎】

【11月大歌舞伎】
【松浦の太鼓】
忠臣蔵のスピンオフで、面白い作品です。
吉良邸の隣に住まう大名の松浦は、一年経っても討ち入りが行われないことにイライラが募っています。討ち入り前夜の登場人物たちのその面持ちの劇です。

赤穂浪士の一人源吾と俳諧の師である其角との出会いのシリアス場から始まり、
其角を交えた松浦邸の句会に場を写し、ここでは素っ頓狂の松浦の喜劇になり、そこから討ち入りが成される場へと進みます。
源吾が残した句がキーになり、登場人物が配されていて話も進みます。喜劇基調でありながら、忠臣蔵の心を語っています。
仁左衛門さんのコミカルな大名ぶりは当然の見どころです。

【鎌倉三代記】
父、北条時政の命をとるか、夫三浦之介の命をとるか、時姫は逡巡するこれが良い。

男、戦士だけでなく、三浦之介の母と時姫という武家の女の気概と、戦国での庶民の心持も描かれています。

物語は今の生き方とはかなり異なる思想で展開されますが、それがまた歌舞伎らしい時代物になっています。

【顔見世季花姿繪】
歌舞伎舞踊三作品です。
華やかで女形が美しい「春調娘七種」、身体能力が見せ場の漁師二人の「三社祭」、物語としても面白い舞踊の「教草吉原雀」。
三者三様の舞台です。歌舞伎舞踊はとても好きな演目なので、堪能しました。

【いもたつLife】

日時:2023年11月17日 14:41

【11月大歌舞伎 マハーバーラタ戦記】

劇団SPACの「マハーバーラタ ナラ王の冒険」は大好きな演目で、おそらく10回は観劇しています。
そのSPAC総監督の宮城總さんが演出の歌舞伎を見逃す手はありません。今回は6年ぶりの再演です。

このマハーバラタ戦記は、物語はナラ王の冒険よりもスケールが大きく、天上界から下界まで、そして神々の思惑が人間界に伝わるかどうか、はたまた神々の使いたちの苦難の物語になっています。
三幕構成の舞台は回り舞台を駆使して一幕の中に七場の転換もあり、歌舞伎の舞台の突貫での変化の見せ所になっています。衣裳も華やかです。

宮城さんの演出はナラ王の冒険での演劇を踏まえていますが、同時に古典歌舞伎の良さも意図的に残されています。
スーパー歌舞伎のようなスペクタルなエンターテインメントではくくれない、私としては深さを感じるものでした。

演奏はSPACの俳優陣による打楽器のパートと、歌舞伎定番の浄瑠璃パートがありますがそこに違和感はありません。これも演出の上手さでしょう。

【いもたつLife】

日時:2023年11月16日 14:40

【spac演劇】伊豆の踊子 多々良淳之介 演出

演劇と映画とダンスが融合された楽しい演出の「伊豆の踊子」でした。
「観光演劇」と銘打たれているのが頷ける、映像には伊豆の名所が写り、ラストは原作の書生と旅芸人達と他の登場人物が現世に現れて伊豆観光を満喫している舞台とでした。

劇は、書生と踊り子たち旅芸人の旅(伊豆の映像付き)・宿でのひと時(これも映像付き)を順に追います。そして芸人たちの仕事、芸の舞台では、当時の芸の再現あり、歌あり、現代のダンス、パフォーマンスあり、そしてそれに合わせて映像(とミラーボール)を駆使して、時に観客を巻き込んで楽しませてくれます。

実直な書生と可憐で健気な踊子、そして踊り子の兄や義姉や母たちも真面目で、身分違いを超えての交流の様はとても爽やかです(役作りが上手い)。

書生はこの伊豆の旅の数日間、踊子との淡い純愛とこの一座との触れ合いが、これまでの自分を肯定させる貴重な体験になりその後の人生の転機にもなり、人生の大きな財産にもなります。

こういう体験は自分を振り返ってもあります。子供の頃、中学高校の頃、社会に出て間もない頃、いっぱしの社会人になってもその体験があるとないとでは大違いということ。
それらを心の中で再現させてくれました。
それは今の自分を作るとても大切なことで、書生と同じく今までを肯定させてくれることです。
その感覚はとても暖かく、それを導いてくれる劇でした。

最初のクレジットで豪華キャストに驚き、それらの人がちょい役で続々登場します。一度見では把握しきれませんでした。
その宝さがし感も良かったです。

【いもたつLife】

日時:2023年11月15日 14:39

【国立劇場歌舞伎 妹背山婦女庭訓 <第二部>】

開館から57年でお役目御免の国立劇場(と国立演芸場)の千秋楽公演に立ち会えました。

10年程前に初めて文楽をここで観て、演芸場には何度か落語で足を運び、歌舞伎は昨年からの「初代国立劇場さよなら公演」にできるだけ通いました。
古びてきていますが、頑丈な建物はまだ現役でも十分と思わせますが、新しく建て替える国立劇場の構想を聞くと、ホテルやレストランの併設等、利便は当然良くなるので、2029年の再開は楽しみです。

さて、最後の通し狂言「妹背山婦女庭訓」は、飛鳥時代の大化の改新が題材ですが、舞台や衣装、登場人物の思想や人生観は江戸時代に焼き直されています。
歌舞伎はそういう柔軟性があるところが時代を超えて受け継がれていること、人気を博していることが窺えます。

蘇我入鹿の謀反を阻止しようとする、藤原淡海に命懸けで手を貸す二人の女、一人は町人、一人は入鹿の妹姫、二人の一途さとそれを受け止める淡海。これはこの演目の当時の価値観です。
また鎌足の家臣鱶七の格好良さと強さ、それに対する入鹿の家臣のあれやこれやも見どころです。
また入鹿が強かで、しかも超能力者という設定も面白いです。その超能力を奪う術などは、多くのSF漫画に影響しています。

そんな楽しい芝居の最後に、舞台挨拶です。もちろんこの劇場に対しての主催者、役者、観客皆の感謝になります。立ち合えてよかったです。

【いもたつLife】

日時:2023年11月02日 11:28

【遠州横須賀街道ちっちゃな文化展】

掛川市の横須賀地区で開催された「ちっちゃな文化展」は、近代化されていない町並みを活かした町全体を芸術に仕立てた3日間のイベントでした。
町の家を間借りした芸術家のお披露目あり、街にいる芸術家の展示有り、街の人々の素人展示や、お祭りとして盛り上げる人たちと、ここぞとばかりに集った面々が作り出すアート体験場になっていました。
芸術家たちの作品ももちろん素晴らしいモノが多く、町の人が観光客をもてなす心も溢れてます。もう23回目ということもあり、街の人々が楽しんでしまおうという、それも無理しないでという大げさではない楽しみ方も気に入りました。

人口減で多くの転換を迎えている地方において、また、最近、芸術を身近に体感できる催しが増えてきている中、これをプロデュースした人は先見の明があると、それにも感心でした。

【いもたつLife】

日時:2023年11月01日 11:27

【焼津 小泉八雲記念館】

お隣の焼津に、こんな立派な記念館があるとは知りませんでした。
そして小泉八雲が焼津とこんなにも所縁があることも初めて知りました。

丁度、松江の小泉八雲記念館(他の国の記念館も)との持ち回りの版画の展示もあり小泉八雲の、今でも、そして世界的に影響を与えた偉人ということも実感しました。
そんなに広くはありませんが、常設展だけでも見ごたえがある記念館でした。

【いもたつLife】

日時:2023年10月31日 11:26

【藤枝市郷土資料館 昭和レトロモダン展】

昭和生まれの昭和育ちですから、懐かしいものばかりでした。
展示物が豊富で、知らないモノもあり、よくこれだけ沢山のグッズを揃えたものだと感心です、特に目を引いたのは、高度経済成長期後期を再現した家庭です。
「居間」「台所」「応接間」「子供部屋」はも~う、いかにもでした。
しかしこれを観て感じたのは、私たちは最大公約数の価値観を持つように常に洗脳されているのだということ。世の中は時代に関わらずそれが重力だと痛感しました。

【いもたつLife】

日時:2023年10月30日 11:26

【グランシップ 本と音楽の素敵な出会い『ラブカは静かに弓を持つ』】

このイベントは作家の安壇美緒さんの「ラブカは静かに弓を持つ」がベストセラーとなり、その内容から、安壇さんのトークとチェロの演奏が組まれた訳ですが、チェロの演奏に圧倒されました。

もちろんナビゲーターの浦久俊彦氏が聞き手となった安壇さんの話も、
チェリストの横坂源さんとのクロストークも良かったのですが、チェロのソロ、ピアノとの演奏がもう感動モノでした。

ピアニスト沼沢淑音さんのピアノの伴奏も素晴らしいのですが、あくまでチェロを活かす伴奏で、主役は横坂源さんのチェロです。
曲目も多数で多ジャンルだったこともあり、チェロがこんなにも万能で、チェロだけですべての曲が網羅できること、ピアノが加われば無敵を感じました。
17世紀の名器のチェロだったことに加えて横坂さんの腕は超一流であることが(ピアノの沼沢さんも)、素人でもわかる演奏でした。
感動と共に、演奏に終始驚きという時間でした。
この企画を開催したクランシップに感謝です。

【いもたつLife】

日時:2023年10月29日 13:19