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ブログ 今日のいもたつ

2013年12月

女優と詩人 1935 日 成瀬巳喜男

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ベタな展開の喜劇ですが、上質に仕上がっている
初期の成瀬巳喜男作品です。

冒頭からサイレントを思わせる演出で、
見事に登場人物の人となりを匂わせておいて、
入れ子構造の喜劇に繋がります。
わかっているけど可笑しい展開で、人の心をくすぐります。

時は軍事政権前夜ですが、ほのぼのとした舞台劇です。

物語は、稼げない詩人の主夫と、家計を支えている女優の、夫婦の愛が深まる話です。
「めし」をとっても可愛らしく演出した感じです。

電車が通り過ぎるたびに、時の流れと夫婦の生活を伝えて、
最後により仲睦まじくなるという洒落た落としどころも準備されていました。

個人的に大好きな三代目の三遊亭金馬師匠が観れたのも大きな収穫です。
師匠をはじめ、師匠の奥さんは目茶おしゃべりで図々しいおばちゃん、
おっとり主夫とその友達の一癖あるやはり売れない小説家、
その4人がとても良い味です。

小品ですが、とても魅力があり、成瀬巳喜男ファン必見でしょう。

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【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2013年12月21日 07:24

紅はるかの丸ほしいも、四切り芋

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今年もてはやされている注目の品種が、“紅はるか”です。
昨年何軒かの農家で作ったところ高品質と評判になり、
今年ブレイク!という感じです。

定着するかは味も大事ですが、
収穫量、保存性、作業性等の総合的な要素で決まります。

紅はるかの大きな特徴は、
糖化が早いことと、形状がかなり細長いことです。

丸ほしいも位の太さが多いのですが、
丸ほしいもには太くて長いというのが多く収穫になります。
そこで作ったのが、四切りほしいもです。
細長いので、綺麗な四切りほしいもに仕上がります。

【芋日記】

日時:2013年12月20日 07:11

安曇野の農家訪問

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常念岳の麓の安曇野市の農家を訪問しました。
ほしいも作りをしている農家です。
茨城のほしいも産地よりもさらに寒いところでした。
原料芋を洗う水が凍ってしまうので、
早い段階で洗っておかないとならないそうです。

ただでさえサツマイモにとって気温が低いうえに、
洗った原料芋の保管なので、
相当保管が大変です。
とにかく冷やさないようにというお話をしました。

【芋日記】

日時:2013年12月19日 07:35

熱波 2012葡/独/伯/仏 ミゲル・ゴメス

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主人公は80代の老女、現在ポルトガル在住。
主人公の現在が第一部、50年前のアフリカでの彼女が第二部です。

第一部では第二部以降の長い人生の集大成を示します。
偏屈になってしまった主人公、でも今際の際で一人の男と会うことを懇願します。
その姿は現代の隣人にはみせたことがない、
彼女の人生の終焉に決着をつける彼女の意志の生きた証の確認です。

それが何なのかが第二部で語られます。
アフリカ、ポルトガルの植民地でなに不自由なく暮らしていた若からし頃の主人公の、
禁断の恋物語です。
舞台アフリカの暑い大地で、熱い恋がありました。
なに不自由なく暮らす生活なのに、愛する夫を失うのも厭わない、
より燃えるような恋がありました。

そんな恋(愛)が続くことがないことは、彼らの周辺も、鑑賞している私達も、
心の底では本人達も承知です。
そしてその通りになります。
けれどこのアフリカでの一時は、主人公にも相手の男にもその後の人生の指針を決める大きな要素でした。

第二部ではその根源が綴られています。
切ない恋物語と言えば簡単ですが、その演出が魅力的で、根源に言及しています。

第二部は、亡くなった主人公を偲ぶかたちで、
主人公と同じように人生の終わりを迎えようとしているアフリカでの熱い恋の相手の語りです。
50年前の主人公とその頃の輝いていた数々の映像は映りますが、
彼の回想以外の声は聞こえてきません。
ただし、アフリカの自然の音と、彼らが精魂こめた音楽だけは観客に届きます。

この演出がこの映画の語りたいことを表現していました。
あくまで主人公ではない目線で語る主人公の姿が映ります。
その主人公を想う語り手の愛がかぶります。
音はアフリカの音、それは二人がいつも感じていた音でしょう。
二人で会う蜜のような時間でも、それが背徳で胸を苦しめる時間でも流れていた音です。

アフリカ時代の主人公達の仲間のバンドが放つ音楽は、
映画に、二人の不徳に対して意を唱えるかのように流れます。

このように(観ていなければわからないでしょう)、
二人には祝福はなく、アフリカでのロマンスは終わりを告げます。
その後、長い長い時が流れました。

たかが不倫の物語かもしれません。
だからそれを肯定しているわけではありません。
でも、熱い姿を映したいように思えてなりません。
日本を含めて現代の成熟社会はそれを許さない、
熱い想いを生むことの胎動もない世界だと、
それがない時代を語っているのでないかと、
この映画を観て想わずにいられませんでした。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2013年12月18日 07:33

ローラ 1981西独 ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー

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マリア・ブラウンの結婚の後を受け継ぐ、その後の西ドイツの姿の映画でした。

復興が軌道に乗った後に起こる、賄賂、癒着、権力の腐敗、私利私欲化、それらを背景に、
中年男と美しい娼婦の愛の物語ですが、皮肉たっぷりの内容です。

表面的には純愛物語です。
州の役人、建設局長として赴任した堅物男が、街で会ったローラに恋します。
娼婦とは知りません。
どうしてもローラに会いたい局長を見ていた部下は、
局長をローラが要るクラブ(売春バー)に連れて行きます。
唖然とした局長、なにしろまじめ一筋でしたから。
でも局長は気を取り直して、ローラをモノにする、というお話です。

純愛は表面だけ、一皮むけば欲望だらけの物語です。

ローラは、街一番の建設会社の社長の愛人です。
その社長は賄賂で会社を大きくしました。
新しい局長ももちろんもてなします。
局長はローラが娼婦を知るまでは、局長として穏やかでした。
公共事業はこれまで通りで構わないというスタンスです。
それが、ローラが建設会社の社長の愛人と知るや、手のひらを返します。

これまでの不正を暴く、全うな役人に、鬼のようになります。(正義です)
困ったのは社長をはじめ、市長達、みんな恩恵に預かってましたから、
そして局長がやっていることは、グーの音もでない正義です。

そこにローラが一役買って、局長と彼らの橋渡しです。
もちろん、局長はローラに丸めこめられますが、ローラと結婚という、
純情男いとってこれ以上ない果実です。

彼らも安泰、そして一番貰いが大きかったのがローラです。
一介の娼婦が大金持ちの仲間入り、しかも一目置かれる存在に、
しかもかねてから欲していた自分が属するクラブも、愛人だった社長に買ってもらい、
しかも、まだ愛人関係を続けるというしたたかさです。

正義が完全に駆逐されるという、根も葉もない解決です。

でも表面的には純愛です。
ローラは局長に正体が知られた時には、心から嘆いていましたし、
彼と居る時はかれと同じく純情でしたから。
でもそれとこれとは違うのが現実だったということです。

映画中他にも人に嫌な部分を映しています。
金持ちが貧乏を嫌うところ、東から来た(東ドイツ?)からきた女性を馬鹿にするところ、
いかにも役所の人々を映すところ、金持ちの社長を取り締まらない警察官、
街の建設計画が無事に遂行されることになった時のシーンも見たくない映像です。

この映画も監督にとって、自国を憂い愛するものだったことが伝わってきます。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2013年12月17日 07:24

マリア・ブラウンの結婚 1979西独 ライナー・ヴェルナー・ファスビンダー

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戦後の西ドイツの復興と合わせて、一人の女(一組の夫婦)の半生です。
日本の復興と心情的に重なると個人的には感じるので、
よその国の出来事ではないと、登場人物に感情移入します。

主人公はマリア・ブラウン、わずか半日と一晩の結婚生活だけで、
夫は戦地に行きます。
終戦を迎え戦死したはずの夫が生還しますが、
マリアはその時には米軍兵士の愛人になり、子供まで身籠っていました。
思わず米軍兵士を殺害したマリアですが、夫が罪をかぶり投獄生活に。
その間マリアは経済的に成功し、夫を迎え入れますが、
夫は妻に厄介になることを避けてカナダに。
数年後、夫も経済的に成功しよりを戻しますが、悲劇が訪れます。

マリアは年月とともにしたたかになっていきます。
その様子と西ドイツの経済が豊かになっていく様が織り込まれます。
マリアはアメリカ人にもフランス人にも体は許しますが、
心はドイツ人の夫に捧げています。これも西ドイツの姿を描いています。

マリアが貧困から抜け出す姿が主に語られいるのですが、
彼女の母や親友とその夫が問題を起こしては、
彼女を苦悩させます。
これも戦後の西ドイツ自体の苦悩です。

ライナー・ヴェルナー・ファスビンダーは、
祖国のあの苦しい10年間(1945年から1954年)を憂いて、
愛してこの映画を撮っています。
もう一度鑑賞してもっと深くドイツの歴史とその場を汲み取りたくなった作品でした。

ラストシーンは、西ドイツがワールドカップ初優勝のラジオ中継が、
マリアと夫の運命を示唆しながらリンクします。
栄光を手にした瞬間、国民が狂喜乱舞した瞬間に、
マリアの悲劇を重ねます。
監督はとっては真に西ドイツが喜べる瞬間ではなかったのです。

非常に濃いメッセージがある名シーンです。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2013年12月16日 06:00

有機安納芋ほしいもが仕上がってきました

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有機安納芋ほしいもは、年末までには欲しいと待っているお客様がいるので、
一番最初に蒸かしました。
もう間もなく仕上がります。
ここから商品化ですので、年末までには間に合います。

【芋日記】

日時:2013年12月15日 08:00

武士の献立 2013日 朝原雄三

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正の循環の物語です。

恵まれた環境、そして、自分を鍛える心がけを身につけた者、
それが主人公の夫です。

主人公は、12歳で天涯孤独になりました。
でも彼女には世の中を渡れるべく、
亡き母から授かった超一流の料理の腕がありました。
彼女(主人公)は、その才能と努力で得た料理の腕を
利己ではなく利他に活かすことが身についていました。
母代わりの愛も受けていたからです。
主人公は12歳までの実母の愛と、
12歳からの母代わりの愛を受けていて、
それを開花させる機会を得ました。
この映画は、その部分を見せる映画です。

主人公の夫は、藩に奉公を信条とする由緒正しい武家の次男坊です。
家は包丁侍といわれる、一見武士の本道からは外れる家系です。
夫はそこに引っかかりを持っていました。
(これにまつわる自己評価の決めつけがあり、それがこの物語を進展させます)

『滅私』が武士に必要不可欠の時代、
若き夫はそれに従うことを良しとしません。
大体が武士は戦う者という幻想を背負っています。
若気の至りであってもそれを続けることは、
妻(主人公)にとっても、家(両親)にとっても、
『人でなし』となる行為です
でもそれには気がつかない、
だから妻が身を捨てて夫に抗します。

その姿は、不幸から転換できた彼女の信条がそのまま現れた姿です。

時は和平と成った江戸時代です。
でも常に水面下では争いはあります。
これも世の常です。

だから若き夫は、
環境に踊らされてしまいます。
派手なモノに本質を見出せなくなっってしまうのです。
家の生業の包丁侍の価値を見出せないのです。

それに目覚めさせたのが主人公です。

不幸に落ちかけた彼女は、
幸運にも出会った母代わりに救われました。
でも彼女にはそれを受け入れる資質もあったのです。
その恩返しのように彼女は夫に尽くしました。
わがままな塊の夫も、ついに妻の想いにしたたか参るかのように、
彼女の無垢の気持ちを受け入れる覚悟を持ちます。

そういう物語でした。

世知辛い世の中でも正の循環は機能する。
それを声高に示していました。

ちょっと違う視点の一言、
江戸を再現したセットもロケも良かったです。
物語の背景であり、物語の影の主役の料理もリアリティあり、
そして、主人公はじめ登場人物(特に女性)の衣装も
とても良かったです。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2013年12月14日 07:29

黒沢進さん

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高齢にも関わらず頑張っている干し芋農家の一人の、
黒沢進さんです。
年々も作付けは減っていますが、
原料芋がある間は元気に加工作業を続けるとのこと。
メロンも毎年作ってもらっていますが、
こっちも来春作付けするかは検討中とのこと。
メロンも、干し芋もできるだけ長く作り続けて欲しいです。

【芋日記】

日時:2013年12月13日 07:39

クレイジー・ライク・アメリカ イーサン・ウオッターズ著 安部宏美訳

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ちょっとした体の変調に、
「いつのまにか病名を付けられ」「直らない薬を飲み続ける」
こんな馬鹿なことがまかり通っています。

アメリカが決めた基準で精神疾患者とされて、
アメリカが世界各地で正義の押し売りをしていることを事細かく4章に渡って解説されています。
1、 香港の拒食症
2、 スリランカの津波被害者のPTSD
3、 ザンジバルの統合失調症
4、 日本のうつ病
これらは皆、アメリカ発の余計なお節介で生まれた本来なら病気ではない、
または、アメリカが決め付ける病気ではないものばかりです。
もちろん余計なお節介を焼くのには訳があります。

日本の例はそれが一番わかりやすいでしょう。
急速に増えたうつ病患者はすべて自発でこれほどまでの患者数になっていることはないことは、自明です。

もちろんストレス社会であるからこそ精神疾患者が増えているのですが、
それを良いことに病気と、それを直すための直らない薬の輸出をしています。

形を変えた侵略に思えて仕方ありません。

【いもたつLife】

日時:2013年12月12日 07:30