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銀幕倶楽部の落ちこぼれ

三十九夜 1935英 アルフレッド・ヒッチコック

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スピードとリズムで観る側を集中させます。
逃走しながら物語が展開し、スリル、推理、ロマンスがプラスされています。

ヒッチコックらしい作品で、ファン必見です。

シンプルな構成だけに映画の構造もわかりやすいので、
教科書的に抑えておきたいと、
映画好きとして感じました。

毎度のことですが、ヒッチコックの視点は、
ファンを喜ばせることにぶれていないですね。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年01月26日 07:10

禁じられた遊び 1952ルネ・クレマン

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二人の子どもの行動から、性善説にのっとって、
人がやってはいけない行為、ここでは戦争を通して、それにまつわる、
人には禁じられているはずのことを、平気でやっていること、
その常と、それをおろかと反省する人の本質も語っている作品です。

反戦を語っています。おろかな人間像も語っています。
エゴが強烈に現れています。
子どもの成長に連れての、少し毒された生き様も垣間見ます。

でもこの子ふたりは純粋です。
大人の投影です。

ほんの身近な近所の諍いから、国同士の諍いまで。
本質は同じでそれを訥々と映します。
ただ底流には希望が隠れながら潜んでいると感じました。

ルネ・クレマンは驚かすような仕立てで観る者に訴えます。
この作品でもそれを凄く、そして、素直に受け入れる術で語っていました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年01月25日 07:14

泣きぬれた天使 1942仏 アンドレ・ベルトミュー

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「内助の功」は万国共通です。
そして、心を温めてくれます。

第二次大戦のフランスの情景が混じって、それを想わせる光景があります。
でもそれよりも、節々示唆する繊細な描写は、目を離せさせません。
主人公ジャックの心を写す仕草は物語の展開にリンクしています。

人生は自分の意志でしょうか?
ジャックは光を失い、そこからジュヌヴィエーヴの助けを得て這い上がり
社会に認められます。
でも、社会で認められれば、食べてゆけるから、
それでまず安心で、それ以外は蚊帳の外です。
そして、自分の意志を確認します。
もうジュヌヴィエーヴなしではいられません。

実現する事象には、裏に支える内助の功が少なからずあります(あると思います)、
自分が価値を生み出すのは、大事な人との協同作業ですね。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年01月24日 08:10

うず潮 1975仏 ジャン・ポール・ラブノー

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ひょんなことから、たった二人で島で暮らすようになった男と女。
男は、妻と会社から逃れるため、
女は、暴君の婚約者から逃れるため。
だけど二人ともお釈迦様の手のひらの孫悟空です。

生きながらえてるようなもの、
それを感じながらも、仲良くできないでいる島の生活、
ここでは安住ができません、模索はしていますが、
しかしやはり。そして急展開ラストへ。

冒頭から前半の目を覆いたくなるよううなドタバタは、
当時としては力作の出来で、南米情緒も加味して、魅了しています。

逃れた島では何もならなかった二人が、
別れて数年どう感じ生きてきたのかは一切かけらも
語りません。
二人がこの間に大人(素直)になったのですが。
こういう雰囲気を感じさせる映画も面白さがあります。

どう感じさせるか。
イヴ・モンタンとカトリーヌ・ドヌーブの
ここに至るまでの演技で決まります。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年01月23日 07:10

白いドレスの女 1981米 ローレンス・カスダン

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白いドレスが光に映し出された演出が美しく、
キーワードの「暑さ」が生々しく、冒頭から惹かれます。

音楽もピッタリ、
練られたストーリーで目を最後までひとたりとも離れさせません。

それらに応えるどころか、それらを御するほどの
魅力をだしていたのがキャスリーン・ターナーでした。

最後なぜ一人でボート小屋に行かせたのかが、
小さくケチを着けるだけだな。と感じるほど、
このジャンルの出色の映画でした。
しかも、男の性を見せ付けるけれど、
お仕着せになっていない按配にも○です。

ヒッチコックで感じるハラハラを
今回感じた映画でもありました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年01月22日 07:00

偉大なるアンバーソン家の人々 1942米 オーソン・ウェルズ

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市民ケーンに続くオーソン・ウェルズ第二の作品で、
市民ケーン同様に商業的には失敗。
けれど当時から作品の評判はすこぶる高かったようです。

前作同様、凝った撮影と社会問題を取り上げています。
そして人間個人の性をもテーマにしていて、
たくさんの見どころがあります。

冒頭で、世の変化を上手く演出してその感覚で本編が
流れているようです。
家での舞踏会
クルマと馬車
変わってゆく街と街の人たち
そしてアンバーソン家はなかなか変われず
亡くなって行き、最後には・・・。

人は、大富豪でも天才発明家でも庶民でも
大きな中のひとつのギアとしては同じであること。
変化が必須でそれを肯定するものも、
否定すつものも、その流れを促す一員であること。
それも語られ、

オーゾン・ウェルズが、20代でそれを知り尽くして
表現していることも驚きです。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年01月21日 07:00

四十挺の拳銃 1957米 サミュエル・フラー

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どんな人格者でも肉親に対して甘くなる。という
世俗的なテーマが背景ですが、
そこに留まらない展開があります。

敵役の姉弟の関係の問題は表面に、
味方役の兄弟の関係は隠れた問題を潜めています。
どちらも人に対して何ができているかを、承認して欲しい。
心の基本の問題です。

二つは悲劇になる、と、ならないに分かれます。
その原因は明らかです。

乱暴な言い方ですが、貧乏の方が
(この場合は恵まれすぎていない方が)
幸せが多いことです。(多いと個人的に感じています)

結局、目先の幸せは人が作り出した幻想かもしれません。
本心が望むものは?
それを埋めるために、無理をして幻想を作っているのが
現代かもしれません。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年01月20日 07:34

市民ケーン 1941米 オーソン・ウェルズ

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市民の定義を定めることから、
この映画の鑑賞が始まります。

自分は凡人としての一市民だから、
市民です。ところが・・・。
を感じさせ、そこの物語の深さが(アメリカの当時の状況)、
この映画の評価のひとつになっていることがわかります。

この映画は他にも、脚本もカメラワークも大胆な構成も、
オーソン・ウェルズが当時25歳という現実も、
多くの評価対象が確かにありました。

けれど、市民を皮肉るような全体を制している空気が、
私としてはこの映画の魅力を感じました。

「薔薇のつぼみ」は微妙です。
見解が幅広いでしょう。
表向きもぼかされている上、
どうしても性的な、踏み込んだ理も考えてしまいます。

このあたりの妙が、これ以外にもちりばめられていることが、
金字塔としての評価を得ているこの映画の側面なのでしょう。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年01月19日 07:30

ハリケーン 1937米 ジョン・フォード

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人には心があります。
これは身に付けたものではありません。

文明や法という言葉が台詞で、何度も出てきます。
それらとその価値観は、人が決めて身に付けたものです。

この物語は、脇役の総督が、それらの人としての
本来の心を取り戻す物語でもあります。

それを注目してしまうのは、
総督をみていて憤るのに、私が総督のように振舞うことがあることを、
示してくれているからです。

他の見所も満載です。
ハリケーンの壮絶な、年代を考えるとありえないほどの、
凄さと、リアルさ。
人種問題と植民地の現実の是非。
前述に関係ありますが、「法そのもの」そして、
法とは誰のため、何のためという問いかけ。
そして家族のもとへ、何が何でも帰る男。

演出も◎です。
初期部分の島や、前半の海と、
ハリケーン前後の海と島の様子も。

個人的に反省を促す、プラス
映画を楽しむとしてもおもしろい作品でした。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年01月18日 07:01

山河遥かなり 1947米 フレッド・ジンネマン

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戦争の傷跡が、個々の子供に植え付けられている、
悲しく、深い傷が、冒頭でとつとつと語られているところから
物語がはじまります。

今までに感じることができなかった、気づかなかった戦争の影響を
目の当たりにされます。
それだけに、ラストは感動を呼ぶのですが。

アメリカが良く描かれすぎていると、
へそ曲がりにも感じてしまいますが、
当時のアメリカの自負がわかります。

時折映し出されるガレキとともに、まだ、この少年の年なら、
生きていても良いほど、大戦は近い過去だったことを改めて想いました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時:2010年01月17日 08:01