いもたつLife
【spac演劇】綾の鼓 伊藤郁女、笈田ヨシ 演出

三島由紀夫の原作を、伊藤郁女さん、笈田ヨシさんの演出家兼主演二人が解釈し、それをダンスを中心とした舞台に仕上げています。
劇としての体裁を取りながらもやはり見どころは伊藤郁女さんの舞台でのダンスを含めた立ち居振る舞いです。所作がとても綺麗です。
そして、笈田ヨシさんの存在感が、この物語に合っていて深みを醸します。
老いた男の恋への憧れと、若い女性の気ままな振る舞いが表現されていますが、私はどうしても老いた男の揺れる心と、それを行動に表そうかと逡巡する様に心が動かされます。
いつまでも心も体も若くいたい気持ち、綺麗な女性に虜にされていまう心、そして自分に取り込むことは不可能だけれどそれを夢見てしまう男の性、それらを笈田ヨシさんが代弁してくれています。それはけっして邪な心ではなく、生の終わりが近づいていても生きることであると言っているのです。
観劇出来て本当に良かったです。
【いもたつLife】
【spac演劇】夢と錯乱 宮城聰 演出

フランスの演出家クロード・レジ氏の最後の作品として2018年に上演された「夢と錯乱」を、亡くなったレジ氏に捧げて宮城さんが焼き直したのが、この「夢と錯乱」です。
舞台は前回同様の楕円堂。この演目はここ以外では考えられません。
このオマージュ作品、一番の違いはやはりフランス語字幕と、主演で独り舞台の美加里の日本語です。台詞は詩の朗読ですから日本語の方が分があります。
それを最大限に活かすのが美加里で、朗読の緩急と感情移入、そして優れた身体能力での表現は闇の中でも凄みが解ります。
レジ作品は、静でしたが、この作品は動が取り入れられています。
美加里の動きもそうですが、レジ作品ではかなり控えめだった照明と音響で攻めてくるところです。これはやはり美加里の演技があるからでしょう。
内容は暗いです。「夢と錯乱」の原作者のトラークルの分身が舞台でのたうちまわります。
美加里演じる分身は絶望をこれでもか、これでもかと訴えてきます。
そしてトラークルが絶望の中で息苦しく生きる様が演出されます。それは日常、生い立ち、大人になってからの人間関係、そしてラストは第一次大戦での苦悩です。
トラークルののたうち回る様で、レジ氏も宮城さんも何を訴えたかのかを考えます。
それは多分、人間の本質だからでしょう。
私たちは私たちの本質をオブラートに包んで日常を過ごすことが習い性になっています。トラークルはそれをしなかった。できなかったのかもしれません。でもその生き方は凡人とはかけ離れた凄みがあったはずです。
レジ氏と宮城さんの狙いはそれが正解ではないでしょうけれど、いくらかかすっているのではないでしょうか。
【いもたつLife】
はじまりの記憶 著者:柳田邦男・伊勢英子

著者お二人の幼少期から子供の頃の、今の自分を作った記憶をたどるエッセイです。素敵な挿画付きです。
自分が生きてきた元になる、同じような体験が数多く収められていて、こんなに懐かしい気分に浸れるものかという読書でした。
そして、自分の幼い頃が可愛くなり、両親をはじめ、生長を見守ってくれた人に暖かい気持ちになりました。
【いもたつLife】
新型コロナとワクチン 知らないと不都合な真実 著者:峰宗太郎・山中浩之

新型コロナの状況は昨年の11月時点で、そこまでのことと、そこからのことを含めて、描かれている内容は、理論的で、今でも素人に参考になることが多いです。
しかしこの本の骨子は、「あなたは世の中に対して、どんな物差しを持っていますか、使っていますか」に落とし込んでいます。
今の社会を生きる嗜みの大切さが掛かれた良書です。
【いもたつLife】
【人形浄瑠璃 文楽】静岡グランシップ

地元で古典芸能を観られるのは嬉しい限りです。文楽は定期的にやってくれて今回も楽しみでした。
演目は「一谷ふたば軍記」と「曽根崎心中」でこの公演の合間に「文楽勉強会」がありそれにも参加しました。
「一谷ふたば軍記」は武士社会が中心、これに対して「曽根崎心中」は市井の人々の話ですが、どちらの演目も当事者の清い気持ちが基になっていて、人形と語りと三味線が訴えかけてきます。
この三つが重なるところが何と言っても文楽の醍醐味です。
文楽の観劇は年に一度あるかないかですが、段々ですが、その良さ面白さが解ってきて、もっと回数を増やしたいと今回は強く感じました。
【いもたつLife】
【spac演劇】みつばち共和国 セリーヌ・シェフェール演出

みつばち達の一年の生活は、連綿と続いてきた、けれど、絶滅を迎えている。
そこから人の営みを考える切り口を迫る演劇です。
昨年コロカ禍でspac演劇を上演できなくなって再開第一弾がこの「みつばち共和国」でした。一年が経ち、コロナ禍にも落ち着きが見えてきている中で、2021から2021spac秋から春のシーズンの第一弾もこの「みつばち共和国」でした。
みつばちは、恵まれた春から秋までで、越冬を準備します。その厳しい冬は個は全体のために尽くすのが当然です。種を守るうえでも同じです。
翻って、コロナでの感染に直面した我々はどんな動き、考えをもったでしょうか。
その対比を訴えていると昨年も、今年も感じました。
私たちは自然が投げかけたことに、個の今の状態を優先することを当然と受け止めていることを想うばかりです。
【いもたつLife】
新しい分かり方 佐藤雅彦:著

考えていること、感じていること、どれも自分流で癖があることを改めて気づかされます。
自分が判断しているものは独りよがりということも改めて解ります。
世の中にはある一定の暗黙のルールがあって、それが生きやすくも生きがたくもしているのですが、でもそれは必要で、その中から、自分はある種の癖を選んでいたとも気づきました。
面白い本でした。
【いもたつLife】
静岡市美術館 吉田博 展

氏が後半生から始めた木版画を中心とした展示会ですが、冒頭は水彩画と油彩画の展示がいくつかあります。それを観ただけで、木版画にいくことはないと感じます。
しかし運命はその道へ進ませるのです。
そして世界を驚かせる数々の作品を生み出します。
吉田博という人物は、まさに人生の全てを芸術にかけていたことがそれぞれの展示で解ります。
とにかく精緻。デッサンはもちろん、その描かれている作品には、そこにあったモノの息吹があるのです。
素晴らしい数々を堪能しました。
【いもたつLife】
【歌舞伎】「身替座禅」「鈴ヶ森」

音声ガイドがあってよかったです。
どちらも面白く、また、違う種類の演目でした。
でも、歌舞伎の底流にある様式は同じなのを感じますし、この芸能に惹かれる訳も解ります。
また行きたいですし、もっと嗜めるようになりたいとも思いました。
【いもたつLife】
【spac演劇】アンティゴネ 宮城聰 演出

2017年、アヴィニョン演劇祭のオープニングに上演された「アンティゴネ」の凱旋公演です。
アヴィニョンに行く前のお披露目でも“日本”を感じたこのアンティゴネですが、それをもっと感じました。死にゆくものへの演劇で、私がきっと4年前より死に近づき、死をもっともっと意識するようになったからでしょう。
今回の演出の目玉は、アヴィニョン演劇祭で舞台となった法王庁中庭を再現したことです。30mの壁を作り映し出す影絵は、4年前よりも壮大で、アンティゴネの醍醐味を増幅させます。
spac精鋭のアンティゴネは、マハバーラタと並ぶ演目になるでしょう。
【いもたつLife】