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ブログ 今日のいもたつ

駅前旅館 1958日 豊田四郎

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高度経済成長で変わっていく、
上野駅前のある旅館を題材とした風刺映画です。
駅前シリーズは、これ以外に一本観ていますが、
この作品以降は、純粋なコメディになっているようです。

こちらもコメディですが、かなり意図的に、変わりゆく時代と、
その中の人間関係の変わりようを描きます。

工業製品が大量生産され、大量消費されていくのと同じく、
旅行も大量生産、大量消費、規格化されます。
それが豊かさの象徴でもあったのですが、
既に警鐘もありました。

物語は古い価値観で価値がある番頭の視点です。
規格化された大勢の中では、旅館の経営者にとって、
かえって邪魔な存在になってしまいます。
それは企業にとって魅力を失うことは
傍からはわかりますが、誰もが盲目になります。
ここはとても怖く身に染みなくてはと強く感じます。

映画の主旨かはわかりませんが、
主要人物たちの価値観をかえる描写もあります。
教訓です。

これ以外も古き良きものは良い。
ではなく、移り変わりが見せかけのものという
メッセージが響きます。

この時代の邦画でよく感じるエネルギッシュも
この映画に流れます。

現代にはない感覚です。
現代では少し茶化される程です。
でも私自身は、それを欲しているかと思うのです。

未来が明るいと能天気に過ごすことができない今こそ、
あの活力を体が欲している、
だからあの時代の邦画が好きなのかもしれません。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時: 2012年05月27日 07:48