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ブログ 今日のいもたつ

御誂次郎吉格子 1931日 伊藤大輔

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【ピアノ伴奏 柳下美恵】【活動写真弁士 片岡一郎】

サイレント映画ですが、ピアノ伴奏と弁士付きで鑑賞です。
ピアノは全く気にならないどころか、
フィルムから聞こえてきているのではないかというくらいフィットしていました。
静の場面は、ささやかな音色、
動の場面の大きく揺れ動くような激しい音色まで、
強弱とリズムがピッタリです。
そして弁士も、言葉が過ぎず足りずです。

この話は、字幕だけではちょっと辛い(わかりにくい)ので、
最初は弁士付きの方が深く理解できました。
多分、当時はほとんど筋は知って観ていたのではないでしょうか。

肝心の映画ですが、なかなか見事な演出です。
スピード感ある映像と、随所の細かい映像にメリハリがあります。
スピード感は、格闘(決闘)シーン、
細かいシーンは、庶民の映像の時です。
髪結い床に集まる人たち、下町で戯れる子供のシーンなどです。
そして圧巻が無数の御用提灯が鼠小僧次郎吉を追い込むところです。

アクション映画と恋愛が合わさった展開と、美男美女の競演、
もう既に映画ならではの魅力をいかんなく楽しめます。

大河内傳次郎のかっこよさは予想通りでしたが、
ヒロイン二人が良いのです。
ちょっと世捨ての女が次郎吉に恋焦がれ、
次郎吉のために身を投げる健気な女ぶりを魅せます。
ゾクッとするアップ映像があります。
その女と対比される、純真無垢な女がもうひとり。
この二人は、伏見直江、伏見信子の姉妹とのこと。
女の魅力が収められています。

伊藤大輔監督作品の現存しているフィルムは、
1980年頃から発見されてきたそうです。
現在だから観ることができるようになった私達はとても恵まれています。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時: 2013年07月17日 07:41