月別記事

ブログ 今日のいもたつ

森の中の淑女たち 1990加 シンシア・スコット

131031blogy.jpg

かなり深い森の中、ほとんど人が足を踏み入れない湖畔に、
老女7人と40歳位の女性ドライバーが乗ったバスが立ち往生します。
近くの廃屋に緊急避難して、サバイバル生活が始まります。

本来なら厳しいサバイバルの様相になるところ、
この映画はそこには踏み込みません。
そこそこのゆるいサバイバルがありますが、
狙いは、老女達のこれまでの人生が何だったのか?
老いた今をどう感じているか?
老いて行く不安は何か?
そして、ゆるいサバイバル生活で出るそれぞれの個性を観る映画です。

女性ドライバー以外は、素人の(本物の)老女達とのこと。
仕草も台詞も今までの人生が乗っかっているので、
脚本があるのでしょうけれど、語る内容は生きてきた一人ひとりの物語です。
ゆるいサバイバルの中で、違う境遇ですが、同じく老いた女性同士だから醸される
人生観のドキュメンタリーのようです。

私はまだ彼女達の年齢には達していませんが、
ふりかえきれない過去がもうたくさんあります。
もちろん後悔が多いし、老いていく不安もあります。

彼女達は特殊な状況に置かれました。それは自己を見つける絶好の環境です。
人だけが、人が持つものを引きよせるのでしょう。
老女達の中には、敬虔なクリスチャン、レズビアン、一人息子を若くして失った方、
優雅に暮らしてきた方、苦労を重ねた方、内向的な方、意志が強い方、
でも皆長い年月を生きて、残り少ない時間だということを自覚しています。
だからこれまでの長い時がなんだったかを自然に感じるようになります。
それを森と湖と都会生活から離れた、結構不便なサバイバル生活が後押しします。

だれもたぶん、幸せの絶頂を感じて最期を迎えることは至難です。
でも、こんな素敵な体験が出来ているとそれに近づけそうな気がします。

身近な大切な人達とこんなキャンプがしたいですね。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時: 2013年10月31日 07:17