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トム・アット・ザ・ファーム 2013加/仏 グザヴィエ・ドラン

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異常な程に人を支配する人、そしてその罠にかかるかのように、
被支配されてしまう人、もちろん異常な世界ですが、
そんな人の性を露にしていきます、徐々に、徐々に。

主な登場人物は3人、その3人に潜む支配ししてしまう本音や、
支配されてでもすがりつきたくなる本音を、
簡単な設定ですが、狂気を含んだ3人の心理劇として、観る者に考えさせる演出で、
見応えがある映画に仕立てていました。

主人公のトムは同性愛の恋人ギョームを亡くします。
葬儀に行くと恋人の兄のフランシスが、
ギョームとの関係は母のアガットには秘密にするように暴力で押さえ込みます。
でもトムがフランシスの仕事(田舎の酪農農家)を手伝うという展開になり、
奇妙な、トム、フランシスとアガットとの3人の生活が始まります。

でもトムに支配的なフランシス、
アガットは若くして亡くなったギョームを偲びながらも、
その死で自分の嘆きを追います。フランシスが隠したギョームの本当の姿を追います。
そして、彼女も子供を支配していたであろうことが仄めかされます。
そして、暴力的なフランシスに惹かれてしまうトムです。
その姿を見て、一切描かれないギョームの姿も露になっていきます。

緊張感がある雰囲気に合うように、
彼らの本音が間接的にむき出しにされます。
それは、隠しておきたいという、誰もが持っている嫌らしいことを、この監督は、
語る以上に痛感させるという手法でこちらに投げかけます。

その観客に委ねることを期待する作りがこの映画の魅力でした。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時: 2015年02月03日 08:34