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ブログ 今日のいもたつ

ゆずり葉の頃 2014日 中みね子

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終に向って自分の人生を自分自身で決着をつける老女の物語でした。
こんな年の取り方をして、こうやって自分の気持ちを、
自分の人生が豊かだったことを確認して、
アンフィニッシュの心の整理ができたら、なんて素晴らしいことでしょう。

主演の市子は八千草薫ですから、そうそうこんなに穏やかで上品で美しい老女は世間にはいません。
また、彼女の心の整理をつける相手の主要人物の画伯は仲代達矢ですから、この物語は庶民にとってはファンタジーに映りますが、ある程度年齢を重ねている者が鑑賞すると、
憧れの人生になります。

市子が戦後疎開していた軽井沢へ、ちょっした冒険旅行に出かけます。
目的は、当時のほろ甘い思い出をたどるためです。
画伯は彼女の憧れでした。その個展に日参します。
一番観たいのは展示されていない絵です。
個展は入れ替えがあるから展示されるかもしれないということで、日参しますが、
展示される様子はありません。
ところが、どうしても観たいという市子の想いは、軽井沢の暖かい人々の偶然のつながりと重なりで、思いもかけない展開で、彼女の想像を超える体験となって実現します。

このあたりも現実感は無いのですが、でも良いんです。
八千草薫が演じているのですから、観客は彼女を応援したくなるから、その世界にどっぷりと浸かるのです。

そして、彼女の安堵が自分の安堵になる。そんな映画でした。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時: 2015年06月08日 06:48