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ブログ 今日のいもたつ

イレブン・ミニッツ 2015波/愛 イエジー・スコリモフスキ

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午後5時からの11分間、市中でお他愛ないどこにでもありそうな出来事が、ある一点でどんでん返しでつながる群像劇です。

女優とその嫉妬深い夫、女優は映画監督の面接を受けます。映画監督は下心満載で、この出来事がラストのきっかけになります。
巻き込まれるのは、
出所したばかりの屋台の気前の良いホットドッグ屋の主人とその息子。息子は人妻と不倫関係のバイク便屋。
そのホットドッグ屋のお客の修道女たち。
映画の撮影現場に偶然居合わせた老画家。
部屋で男とポルノ映画を観る女、その男はビルの壁の修理屋。
質屋強盗を失敗した少年。
犬を元彼から返してもらって連れ歩く女。
救命隊員の女医と仲間、彼らが助けた産気づいた女とその家族
他にも居たかもしれません。

その市中の人達の11分間を細切れに映して、人となりを紹介し、
11分後の姿を最後に見せます。

出てくる人達の人となりは解りますが、掘り下げはしません。
あくまで観ている観客とそんな遠くはないということを言いたげです。
そして思いがけない出来事が起こる、そんな世の中を表現します。

9.11を匂わす映像や、訳がわからないことが起きていることを告げること、
ちょっと不思議な現象を挿入することから、
一寸先と繋がるはずがない者が繋がるという現代を謳っているようです。
感情移入をさせないで、それを描く、上手い造りの映画でした。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時: 2016年10月03日 09:04