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残菊物語

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お徳のあのかよわく響く声、
大げさかもしれませんが、これまでの私の人生に訴えてきます。
それほどまでに、心の中に入ってくる映画なのでしょう。

自分が今あるのは、
お徳という存在がいたからだということを・・・。
そんなことを心にとらえます。
こう思うのは私だけかもしれませんが。

菊之助は背負ったものが大きいから、お徳はそれに尽くすことができたし、
したかったかもしれません。しかしお徳の献身はそれを超えます。何故でしょうか?
時代でしょうか?

純粋に菊之助を一人前にすることに喜びと人生をかけました。
そして成就しました。残念ながら命と引き換えですが。

そしてプラス、自分を犠牲(ではないかもしれませんが)にしたのは、
至福を求める心のような気がします。
誰も持っているものです。
そこにこの作品のキーがあると
私のかなり個人的な見解ですが、思いました。

台詞ひとつも、舞台設定も、歌舞伎の映像も、街での人々も、
この物語を作るすべての小さい一つになっています。
それが作品の凄さとして残されていることに加えて、
戦前の様子とともに封印されていることに、
年月を超えて価値を高めていくでしょう。
それはきっと、物語に込められた人の心の機微ともに。

【いもたつLife】

日時: 2009年04月21日 10:04