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ブログ 今日のいもたつ

汚れた心 2011伯 ヴィセンテ・アモリン

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終戦直後のブラジル、日系移民同士の対立、抗争です。
日本人同士が殺しあう悲劇です。

根底にあるのは、“否定できない自分”です。
人の性で、哀れな性、でもいつでもどこでも、
自分を、過去から今までの自分を肯定しなければ生きられないのが人です。
そしてそのためには、どんな事実も自己都合に置き換えることを厭わないのが人です。
自分ももちろん同じです。
平時はこのことで問題はありません。

この悲劇の舞台裏は戦前からの多くの積み重ねです。
教育の恐ろしさ、
妬みのはけ口、
自己陶酔する心、
よりどころを失う怖さ、
生きていかなくてはならない運命、
それらの積み重なりが善悪を心から消し去ります。

やってはいけない、本来なら心ある者ならできないことまで、
やることを疑わなくなります。

つくづく人は相対の中でしか判断できないことを、
この映画でまた思い知らされました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

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鶴の里23by

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10月1日に毎年蔵出しになる鶴の里です。
約一年の熟成という菊姫酒造の中では若い熟成での蔵出しです。
また醸造年度ごと(by)に味わえるのも特徴で、
23byは、黒ラベルです。
(左の赤ラベルは22by、右の青ラベルは21by)

第一印象は、歴代の鶴の里の中でも、フレッシュさがある、です。
旨みが詰まったフレッシュさというのが適切な表現です。

菊姫は総じて濃厚です。
濃厚とフレッシュさは相反すると一見思いますが、
そうではないことがわかります。

キレがあって濃醇なので、後まで旨みが残ります。
だからもっと正確に言うと、
キレとフレッシュさは口に含んだ時で、
その後は、若い熟成のマイルドさがあり、
その後は、ジワジワ美味しさが広がります。

今年の23by鶴の里も今後の熟成が楽しみな潜在力を感じます。

【酒呑みのひとりごと】

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かぞくのくに 2012日 ヤン・ヨンヒ

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ラスト、主人公の妹が、兄(主人公)に託された自由に向けて歩きます。
思考停止することのもったいなさを自覚するように。
希望を得る困難を自覚するように。
この映画の主旨のひとつであり、
私が最もメッセージとして受け取ったのが、
自由(希望)を得ることへの無自覚な思考停止の己への罪です。

もちろん、かぞくがテーマです。理不尽なかつて「地上の楽園」と言われて、
北朝鮮に移住した在日朝鮮人の悲劇が骨子です。
でも、それは胡坐をかく日本人へのメッセージにもなっています。

『キューポラのある街』では、洋々として北朝鮮に向かう少年が描かれます。
同じ時代の映画『冬の小鳥』では
韓国では幸せになれない少女が里子に出されることが描かれます。
今となっては地団駄な対比に映ります。

大きな権力に無力な個人が、
制約の中でできることは何か、
考えても考えたも、何もできないことしか見つからなかったとしたら、
人らしく生きていけるのか。

壮大な社会実験だった社会主義対資本主義が生んだ、
たくさんの社会的な矛盾を痛感する上で、
生き方そのものを問う作品です。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

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新型車両

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JR常磐線の特急「スーパーひたち」「フレッシュひたち」に
新型車両が導入されました。
昨年春からなのですが、一部ダイヤでの運行なので、
乗り合わせることがありませんでした。
今回、運よくたまたま乗車しました。

外観は新しさを感じませんでしたが、
内装はシックで落ち着きがあり、
シートもヘッドレスト付きで高級になっています。

騒音対策も旧車両よりも優れていました。
乗り心地も改善されている感じです。
(仕事(PCの入力)をすると乗り心地の改善がよくわかるのですが、
今回はPC入力しなかったので感覚でよさそうと感じました)

【いもたつLife】

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畑内の通路の除草

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当然ですが草は、畑内だけでなく畑周りでも通路でも伸びていきます。
順々に畑を回りますが、しばらくこなかったので、
草茫々になってしまった畑内の通路です。

収穫前には、畑周りと合わせて、通路も草刈りをします。

【芋日記】

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銀河星プラスEM7栽培

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銀河星という天然のたい肥で土壌改良している畑に、
兼六人参芋を植えて、
EM7の活性液を葉っぱにまきました。

銀河星は、天然腐植土・草炭(ヨシ・シゲ等の堆積物、有機炭素)
貝石灰・隆起珊瑚粉末・岩石粉末が原料の優れた土壌改良たい肥です。
EM7は、EM(有用微生物群)ミネラルやセラミックスを加えたもので、
どちらも農産物が持つ本来の機能を引き出して、
健全に育つのを促すためのものです。

有機栽培プラス栽培として試しています。

EM7を使った後、
葉っぱの色が他の兼六人参芋と明らかに違いがでてきました。
収穫が楽しみです。

【芋日記】

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サツマイモのつるの伸び

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サツマイモの有機栽培では一般栽培に比べて全体的に、
つるや葉の伸びが遅い傾向があります。
その中でも有機栽培に麦間栽培を組み合わせた農法は、
特につる・葉の伸びが遅れます。

この畑は、麦間栽培の畑です。
ようやっとサツマイモが畑を覆うようになりました。

麦間栽培は雑草、イモムシ、畑の中の線虫を抑える効果があるのですが、
生長の遅さが問題です。
来シーズンは、畝(うね)幅や、苗を植える時期等を含めて見直しをする予定です。

【芋日記】

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ハクザに負けず

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サツマイモ畑の雑草の王者がハクザです。
サツマイモのつるや根を抑えて
サツマイモが畑に広がるのを阻止するかのごとく
ハクザは畑中に広がります。

要はサツマイモがハクザよりも早く畑を覆えば良いのですが、
そのために草取りをせっせとしています。

この畑もハクザに追われながらの草取りでしたが、
なんとかサツマイモのつるが伸びました。
ハクザに隠れながらではありますが。

【芋日記】

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治作 結婚式

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とても親しくさせていただいている、
日本料理の治作の、
若き親方の結婚式に招待されました。

親方は大学卒業直前に、
先代(父)を亡くし、急遽後を継ぐことに。
約10年で、今では立派な一流のお店にふさわしい店主です。
親方ももちろん苦労していますが、
それを支えた女将さん(母)、そして妹さんと、
家族で店を盛り立てました。

それらが報われる結婚式で、
それらを喜ぶ方々への披露宴でもありました。

【いもたつLife】

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SPAC演劇 夜叉が池 宮城聰 演出

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宮城聰さんの演出は、様々な要素があり、全部をとらえきるなんて、
とってもできませんが、
音楽、ユーモア、シリアスな演出、
光、照明、闇、
観ているだけで楽しいし、深さを感じざるを得ません。
そして、十分な稽古をされた洗練なSPACの演劇はいつも感動です。

夜叉が池は、
村の人々、魔界の者達、
なみなみと溢れる夜叉が池からの清水の麓の、両者を橋渡しする夫婦
(正確には夫婦ではないかも)、
そこに何が起きたか、村に深刻な日照りが続くことで、
3者が動き始めます。
それを見届けるのは、観客を代表する京都の大学講師、
彼の目で物語が始まり終わります。

3者がそれぞれメインになる舞台での演出が、三者三様です。

夫婦と講師の舞台は、良き人の営みと、
悪意がない人の嫌らしさと純な心を伝えます。

魔界の舞台は宮城さんがユーモアを交えた楽しい演出が光ります。
その中に、魔界の姫がいて、彼女は純粋な心の持ち主で、
恋のために全てを捧げる心と、
約束(義理人情)を曲げられない姿勢を見せます。

村の人々は7人です。
政治家、金持ち、教師、神主、農民、ヤクザ、従順な人
凝縮された人選です。
それらのごく普通の社会に属する人が、
生死の危機を感じた時にとる行動は、
魔界の姫の純粋な行動とは真逆です。

けれど、人はこうなるのが常です。
そして、魔界の姫も人が創る象徴で、それも人が自ずから持ち合わせた心です。

だからこの演劇は、
人の嫌らしさの極みをみせながら、人の善をも匂わせます。
人の嫌らしさは、迫り来る音と圧力で圧巻をみせます。

村の人々と魔界の橋渡しの夫婦は、
結局やり玉に挙げられるのですが、
二人の暮らしは理想像です。
だからやられたんだろうと、悲しくなります。

人は嫌らしさと純粋の両面があります。
その中で、嫌らしさは徹底されます。
多分夫婦は、村が日照りで困る中でも比較的その貧困の影響はなかったのでしょう。
決して裕福な暮らしではないけれど、困らないことに揚げ足を取るのが人の性です。
しかも仲が良いことはそれを冗長します。

村の7人には、金持ちがいます。
だけど、金持ちでない夫婦はやられるのです、金持ちはやられずに。
そこには嫉妬も大きい一因です。
それと、誰かを生贄にする共通認識の中で、
生贄にしやすい者を求める安直が、それを正当とする見せ掛けの正義で、
溜飲を下げるかのように村の共通意識になります。

それを推し進める正当さを言い聞かる迫り方です。
(これが圧巻です)

その狂った村は葬られます。
それを講師は見届けます。私達に見届けて欲しいように。

純粋だった姫は我が意を得ます。
そしてラスト、
天空から廃墟になった村を眺め、
寄り添いながら死んだ夫婦に語りかけます。
けれど夫婦は動き出すことはありません。

それを見て講師は客席に消えます。私達の下に戻ります。
そしてカーテンコールです。

けれど、夫婦はそのまま動きません。

宮城さんは基本的に性善説だと私は思っています。
このラストは非情さを演出しています。
一件非情な演出ですが、私は心の中で「動くな」と言いながら、
素晴らしい俳優(夫婦を除く)達に拍手を贈りました。

(宮城さんの意図はわかりませんが)
取り戻せない事は常。
大きいことも小さいことも。
それを持ち帰ることが私にとってのこの演劇でした。

【いもたつLife】

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