いもたつLife
アンナ・カレニナ 1948英 ジュリアン・デュヴィヴィエ

愛するがゆえに、愛されたいけれど、愛する人の足かせになれない。
けれど、愛されているから身を引けない。
そんな胸の内がうまく表現されていたと思います。
そのあたりがヴィヴィアン・リーでしょう。
人としての生きる道や、母としての気持ちと
それとは別感覚の宗教や貴族の間の社会性を、
映画を見て気づくこともありました。
ただ、「不安」や「ダメ」と直感できる選択をしてはいけない。
ことを確認しながら鑑賞しました。醒めた映画の見方ですが。
【いもたつLife】
ニノチカ 1939米 エルンスト・ルビッチ

シーンを見せないで、断片の変化での語り方は心地よくなります。
(3つの帽子が掛け変わるところ)
観客のイメージはそれぞれ違うけれど、
一番自分に合った変化を思い浮かべて、次からの話に入ります。
「ガルボが笑う」は有名なキャッチですが、そのきっかけが、
相手役が自分が意図しないことから始まるのが、そのシーンが言いえています。
そのガルボの豹変ぶりも、他にも共産主義の建前と本質をつく流れも、
よどみなく、最初から最後まで楽しく見ていられます。
1939年の、西の雰囲気がよくあらわれているように感じます。
当時の人の意識とは正反対の、
すでに取り返しのつかない状況になっていることが、
実感できないでいることがこの映画に納まっているように思います。
【いもたつLife】
新平家物語 1955日 溝口健二

ぜいたくな作品です。
エキストラの迫力、着物や弓刀から調度品まで、手を尽くしています。
日本映画の黄金期と溝口健二の当時の存在感が伝わってきます。
公家と武家と寺の立場・力関係を、
監督が持っている京都の美学で描かれているのもわかります。
二人の女性像も興味深かったです。
公家から武家になれない清盛の母
公家から武家に変わることができる清盛の妻
時代の大きな変わり目にどう振舞えるか?
今また、同じように時代の変わり目です。
今生きる中で考えさせられるテーマでした。
市川雷蔵の力いっぱいの演技もよかったですね。
【いもたつLife】
全脳思考 神田昌典

10年前から振り返ると仕事のやり方が
大きく変化してることに気づきます。
これからの10年も変わってゆくのですが、
そのヒントや方向性を感じさせてくれる内容です。
とにかく、情報量が莫大になっている
現代ですから、自分がどうそれらと付き合うか。
正解を求めるよりも、
個として公として、
(生活の中心は仕事なので)
納得できる仕事のやり方を探ることは大事です。
新しいひとつとして実践する価値があることが
書かれていると思いました。
【いもたつLife】
沈まぬ太陽 2009日 若松節朗

この映画で描かれている国民航空は、
お客に社会に社員に何を与えているのだろう。
どこへ行こうとしているのだろう。
勝負に勝った負けたと、こだわるやつらは、
誰と何の勝負をしているのだろう。
人がつくりだしたのに、人からはなれた巨大な生き物、
そのひとつを日本人なら感じることができるテーマとともに語られています。
改めて自分が持つ価値感を疑う正常さを身につける大事さを思います。
【いもたつLife】
自由を我等に 1931仏 ルネ・クレール

お金はとっても大事だけど、自分にとって何番目くらいになるか?
お金をその観点で考えるのは、
この手の映画を見た時だけではありません。
割と日常でもふと考える事はあります。
とっても大事な存在ですが・・・。
で思考がいきづまることもあります。
この映画の主人公ルイも、
大金持ちになってずれた自分、に気が付きました。
金を手にすると自由を失うことにもなる例です。
だけど、金がないと自由になれません。
ルイは金を得て自由になる権利を手に入れて、
金を捨てて自由になりました。
そこが面白いですね。
資本主義の風刺を表現しながら、
(もう一人の主人公のエミールの恋を入れながら)
この時代に個人としてどう生きるか、
社会に従うのか。どう付き合うか。
興味は尽きないで鑑賞しました。
ルネ・クレールは多才です。
トーキー当初だけに、サイレントの雰囲気が漂い、
それと映像がマッチもしていました。
過渡期を垣間見る事も出来る作品です。
【いもたつLife】
ヴェニスの商人 2004米/英/ルクセンブルク/伊 マイケル・ラドフォード

虐げられているユダヤ人側の言い分も、
虐げているキリスト教徒側の言い分も、
不足が無い立ち位置にいるから、冷静に見ることができます。
連綿と続く、ユダヤ人迫害が、シェークスピアでもこんなに描かれていることに、
その深さを改めて感じます。
(日本にいることで、こういうことがわからないことを何度感じたことでしょう)
物語が、古典として評価できることがこの映画からも分かります。
この映画も、それに応えていると思います。
舞台では出せない、映像を具現化できる良さが活かされていました。
【いもたつLife】
リラの門 1957仏 ルネ・クレール

ろくでなしのジュジュと芸術家が、身勝手な殺人犯をかくまいます。
途中から、ろくでなしが恋しているマリアと殺人犯が・・・。
ジュジュは、ろくでなしを自覚しています。
だから、そこから抜け出したくて。
殺人犯をかくまうのは、スタートに立てたのだと思ったのでしょう。
親友の芸術家をなんとか説得して、
殺人犯に献身します。
最後は許されないことをした殺人犯を葬り
日常に戻ります。
ジュジュは、前と同じろくでなしのままかどうかは分かりません。
ジュジュは、後悔しています。
だけど一世一代で守ったものがあります。
きっとジュジュは変わらないでしょう。
芸術家も。
マリアも忘れるでしょう。
人間なんてそんなものです。
だけど、熱く生きたことは財産です。
自分が生きている事を承認してくれるルネ・クレールらしい映画でした。
【いもたつLife】
U―571 2000米 ジョナサン・モストウ

潜水艦の環境は劣悪なので、その条件で、緊張感が高まります。
戦時は、敵味方双方が最高を越えるべく技術を注ぎ込みます。
そこをスパイするという任務は、お互いが最も警戒るすることなので、
展開の行方に注目です。
ほとんど絶対、味方=主人公たちが(“いいもん”と昔言った)
助かることが約束されている進行に、興ざめを感じるものの、
戦争だけでなく、心技体の心が未熟で、艦長になれない副官が、
この船(潜水艦)の任務中に、立派に艦長をもしのぐ人物に、
成長物語としているところが見どころです。
結果オーライの脚本は過ぎていますが、
非常な人格を手に入れる、それを操れるようになる副官の心は、
経営の真を語っていて、私の心を刺激する流れでした。
【いもたつLife】
故郷 1972 日 山田洋二

人々の日常を変えてしまうことは、歴史上何度もありました。
戦争や明治維新、それ以前の歴史上の出来事でも。
同じく、産業革命から起こった経済支配の波は、表面的な争いはない現代まで、
人々の生活を変えています。
日本の高度成長の時、田舎の島でもそれがあり、
それをこの映画は表現しています。
多くの人が豊かさを選んだことが、本当に豊かかどうか、
今から振り返れば「ああだ、こうだ」と言えますが、
当時はそんなことは考えません。
それよりも今この映画でわかることは、
大きな流れに自分が身をおいているかどうか。
「これまでの、これから」生きてゆく上で
そこに注目しているのが大事ということです。
先住民の方が幸せだと思うことがあります。
外からの大きな力に惑わされずに生きる環境にいるからです。
私たちは環境が変化する場所で生きています。
だけど環境の変化を実感することは中々できません。
良い時代になったものです。
映画は過去の環境を客観的に映してくれます。
(客観的かは造り手の意志次第ですが)
なんて心強いのでしょう。
内容とは関係ないですが、
この映画を観た感想です。
【いもたつLife】