月別記事

ブログ 今日のいもたつ

華麗なる賭け 1968米 ノーマン・ジュイソン

131008blogy.jpg

ラブロマンスタッチのサスペンスです。

主人公はスティーブ・マックイーン、大金持ちで何不自由ない生活、
それが飽き足らないことから、銀行強盗を企みます。
そして完全犯罪を成し遂げます。彼にとっては命を震わせるゲームで、
それに勝つために、知力を使い、強靭な精神で挑みます。
それが生き甲斐だから。

相手役はフェイ・ダナウェイ、保険調査員として、警察と連んで犯人を追います。
スティーブ・マックイーン同様にクールで切れ者で、彼を追い詰めます。
そしてハニートラップを仕掛けます。

彼女は正体を確信しながら、仕事として(証拠を挙げるために)
彼をしょっぴこうと画策します。
それをゲームとして受ける主人公。
彼にとっては魂が求める駆け引きの相手として不足なく、
彼女との対峙は自分を賭けることです。

いつしか愛し合うようになるのは、お決まりですが、
描写がクールです。
一見二人とも心が揺れ動いているような感じをさせますが、
彼は自分を賭けたゲームとして、
彼女はあくまで仕事として、
そこには一線があります。
この映画はその描写が全てと言えます。

台詞は少なく、仕草と表情と二人の間で、
愛は匂わすだけで、自己が持つ譲れないものをどちらが暴くかという緊張感が、
ラストまでゾクゾクして続きます。

冒頭ものの見事に上手く行った犯行を、
ラストで、もう上手くは行かないところまで追い込まれながら、
主人公は繰り返します。
それは破滅に向かう行為で、何故そんなことを?というところで緊張感はピークに。
そしてドンデン返しです。
その時のフェイ・ダナウェイの演技(演出)がこの映画を象徴していました。

愛した彼が破滅しなかった安堵感。
クールな駆け引きの結末は、してやられてしまった悔しさ。
けれど主人公が犯罪者としてはもう生きられないことを、
決めさせるまで追い詰めた自負。
その全ての感情が込められていました。

主演二人に魅せられた映画でした。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時: 2013年10月08日 07:33