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ブログ 今日のいもたつ

忍ぶ川 1972日 熊井啓

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話は単純です。
訳ありの男 哲郎(加藤剛)と訳ありの女 志乃(栗原小巻)が、
心を分かち合い結ばれます。
集約すれば単純ですが、訳ありの条件をお互いが掛け合う所に、
真価がありました。

男は6人兄弟の末っ子ですが、
3人の姉兄が自殺、1人の兄が行方不明、残った姉は引きこもりです。
これを宿命と感じ、昔の田舎の状況ですから、
家族は隠れて暮らす様を自らで義務付けています。
(家族はまともではないこと呪われていることを、
宿命であり、不幸であることに従っています)

女は、女郎やの出です。料理屋に奉公に出ています。
家族は家を追われ、疎開先の寺になんとか住まわせて貰っています。
(女の家族はまともではないことを、負い目であっても尊厳を失っていません)

この二人が互いを補うのです。
男は女に約束します。結婚を。
(当時を推測すると、この状況で恋愛で結ばれることは、
女にとってとても幸せだったようにとらえました)

女は、男と男の家族に対して、
今までを断ち切る存在になります。

この描写をどう感じるか。
この作品は観るものに問いかけています。

物語は単純です。
こんな過去を持つ人も今は稀有でしょう。
だけど、映画を観て考えます。

自分にも多くの何かにひっぱられていることが確かにあります。
それを断ち切る力はどこから湧くのでしょう。
過去にはいくつかを断ち切ったこともあったことを思い起こします。
でも今も引っ張られています。
これからもそこから抜け出すことをするでしょう。
そこには、自分を補ってくれる誰かの存在ってとても大きいものです。
それを意識させてくれる映画でした。

【いもたつLife】

日時: 2009年06月30日 15:37