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【spac演劇】王女メデイア 宮城聰 演出

前回の最前列中央から6列目中央で二度目の観劇です。全体を追いながらみることができました。
まず注目したのがメデイアの息子殺害シーンです。ここで劇中メデイアは一度だけ言葉を、叫び声を発します。その後はナイフを口に咥えて、息子の衣服を整えてから刺します。
当然逡巡がありますが、その迷いを断ち切ります。口をふさぐのはスピーカーからの支配を、息子を殺めるのも劇全体のテーマである、男から社会からの解放の場面でした。
また、女性の衣装が、被り物での着物、着物、赤のドレスと変わります。最初は遊郭の顔見世、次は仲居、最後のドレスは女性の独立の示唆だと改めて解ります。
これらも女性が男性と対等への道です。
また二度目は音楽の感じ方も異なりました。一度目よりも、荒々しさや時に台詞を遮る騒音のような所に気が付きました。また、仏壇に向かって一度だけ鳴らす「チーン」という音も何度かありました。荒々しさはメデイアの心情の高まり、騒音は男どもの横暴への抵抗、「チーン」は、復讐を決意したメデイアであっても自然と祈りを捧げなければならない現れと捉えました。
そしてラストですが、一度目はとにかく「たきいさん」にくぎ付けでしたが二度目はメデイアのその後を考えさせられます。
為政者と息子を殺したのですから、十字架を背負って生きていくことは間違いありません。しかし抑圧から解放されたのも事実です。ただ、この劇は日露戦争の勝利の頃の設定ですから、欧米列強に肩を並べる機会になった時代です。すると、それらの国から目を付けられるわけで、でもイケイケです。歴史を知っているので後出しジャンケンなりますが、メデイアも苦難の道を進むのでしょう。
そしてこれは2026年のせかい演劇祭全体を通したメッセージです。
今不穏が増し続けている世界です。庶民は何もできないようで、そうではないということを語ってきます。これまでの諍いの歴史を知ることで、またそれにどうやって抗ってきたことを知ること、全く知りもしなった他国の文化を知ることで、今を気づく者が一人でも増えることは意義があります。
そして何より自己責任で生きていくことを覚悟したいと強く言い聞かせました。とんでもない世界になりその犠牲になるとしたら、演劇を観ていても観ていなくても同じだとしても、その覚悟がほんの少しかもしれませんが勇気と生きる糧になるのではないでしょうか。

【いもたつLife】

日時: 2026年05月17日 09:12