いもたつLife
一日だけの淑女

奇跡が起こりました。
多くの人が自ら進んで、アニーのためが自分ため、と思い嘘を現実に変えました。
娘はこれで本当に幸せなのかの疑問が残りますが、
アニーは全うし、悔いはないのでしょう。
なぜアニーに協力したのか?
乞食仲間は友情ですし、
シナリオを作った悪者たちは大事な取引先としての義理です。
その子分達は当然仕事。
では、知事や市長や警察は?
悪乗り、おふざけ、芯からの同情、憐れみ、
どれも少しずつ違うような気がします。
映画だからと言ってしまえばそれまでですが。
この人達が行動することを信じる、ことを訴えたかったようにも感じます。
それと、前述とは異なるのですが、
アニーの嘘に対して嘘を現実化して追い詰めて、アニーに清算させる
「悪魔的な意地悪さ」が引き出せれているようにも思いました。
推測ですが、娘と分かれたアニーにはもう後はありません。
でもアニーは望みが適ったのですから、本望でしょう。
【いもたつLife】
残菊物語

お徳のあのかよわく響く声、
大げさかもしれませんが、これまでの私の人生に訴えてきます。
それほどまでに、心の中に入ってくる映画なのでしょう。
自分が今あるのは、
お徳という存在がいたからだということを・・・。
そんなことを心にとらえます。
こう思うのは私だけかもしれませんが。
菊之助は背負ったものが大きいから、お徳はそれに尽くすことができたし、
したかったかもしれません。しかしお徳の献身はそれを超えます。何故でしょうか?
時代でしょうか?
純粋に菊之助を一人前にすることに喜びと人生をかけました。
そして成就しました。残念ながら命と引き換えですが。
そしてプラス、自分を犠牲(ではないかもしれませんが)にしたのは、
至福を求める心のような気がします。
誰も持っているものです。
そこにこの作品のキーがあると
私のかなり個人的な見解ですが、思いました。
台詞ひとつも、舞台設定も、歌舞伎の映像も、街での人々も、
この物語を作るすべての小さい一つになっています。
それが作品の凄さとして残されていることに加えて、
戦前の様子とともに封印されていることに、
年月を超えて価値を高めていくでしょう。
それはきっと、物語に込められた人の心の機微ともに。
【いもたつLife】
たけのこ掘り

久しぶりの竹の子掘りです。
ひと通り掘り終わって休んでいると、
竹が「さらさら」と風にゆられる中にいて気持ちが良いひとときを過ごしました。
ここの竹薮は手が入っているので、整っていますが、
回りは荒れてしまっているところも少なくありません。
密集していると、「さらさら」も今ひとつ、
木漏れ日が入ることもありません。
自然まかせだから必ずしも人にとって良いとはならない例でしょう。
【いもたつLife】
秋日和

小津監督にかかったら、どんな物語でも引き込まれてしまいそうです。
人が持っている善の本質を突いているからです。
善の本質って、綺麗なだけではありません。
エゴもあるし、無責任でもあります。
人なんだから、だから、それでバランスがとれていいんじゃないでしょうか。
そして、最初から最後まで、意図したことがイメージできる映像美に、
引き込まれます。
小津監督の映像ほど真意を語るものがないと思えるほど、
心情がわかる映像です。
展開もおもしろいので、2時間本当に楽しめた映画でした。
そして、
やっぱり原節子だなぁ~。
と想わされました。
大女優ですね。
【いもたつLife】
審判

あまりにもリアルな夢をみて、はっとしたことがありませんか?
でも覚えているうちに回想すると、ところどころ、
ありえないことが展開されていたりします。
考えてみると自分の深層心理が映像化されたような気がします。
それを2時間に渡って目の当たりにしているようでした。
常に幻想的、幻覚的なのですが、
その根源が深層にあって、それが表現されている感じです。
夢の世界は時間と空間を飛び越えます。
そしてひとつの出来事が強調されます。
繰り返しになりますが、それは、
抑えている欲望や忘れたい過去、報われたい想いだったりします。
映画の展開とは無関係で、この作品を通じて自分をちょっと上から眺めると。
妙におとなしくなってきている自分に、渇!を入れたい気分になりました。
【いもたつLife】
汚れなき悪戯

神に召されることで伝説にまでなるマルセリーノ。
これはキリスト教と深いつながりがなければ、真髄はわからない、
少なくとも私は表面的にしかわかりませんでした。
ただ母の存在をかみ締める時間でした。
12名の自分を愛してくれる父親がいても、
ひとりの母親にはかなわないことは、
キリスト教徒でなくても心を締め付けます。
マルセリーノは幸せだったか、彼を送り出した僧侶たちは自分達を責めてしまったのか、
そしてお祭りにしてそれをいつまでも祝う心は・・・。
これらのことは死生観に結びつきます。
日常生活とつなげて、そういうことをあまりにも考えないでいる生き方をして来た
自分(日本といっても良いかも)に気づきます。
【いもたつLife】
青空娘

シンデレラストーリーですが、増村監督の意図が入っています。
単純なシンデレラではありません。
そこが面白いし、他にも良い描写がたくさんあります。
当時の風俗が健康的に表現されています。
都会と田舎、
男と女の節度、
経済的な階級、
でも底流には、人が求める精神をやんわりと表しているようでした。
とても気に入ったシーンは、
有子が実の母と初めて出会う(再開する)シーン。
涙涙になっていないんですね。(へそ曲がりな私は)これが自然だろ。
と拍手です。
有子の先生は、
この物語では隠れた主役です。
今もしかして、うまく行っていることがあったとしたら、
こういう先生と同じ役割をしてくれている人がきっといます。
自分が気がつかないだけで。
私としては、この先生の献身といえる振る舞いがこの映画の味噌と思いました。
これをわかっていることは重要です。
継母もシンデレラとは少し違いました。
ラスト前シーンは、「和解」です。
ここですべて、自分を解放します。
人はつまらないプライドや過去を否定しないためにこれができません。
有子がきっかけを作りました。
今までの夫や有子に対する反抗エネルギーは、
作用反作用ですから、きっととても幸せをものにするでしょう。
この映画の話は単純です。
しかし、たくさんの示唆をちりばめた、
監督が観客に
「さぁ感じて」と言っているような映画でした。
【いもたつLife】
キサラギ

スピーディな流れと、意外な展開、無駄がないシーンは
よく考えられて、楽しませてくれました。
台詞も設定もアイドルを現す感じで進み、
意外性以外は意外なことがないように造られていたました。
古典的な手法に、ネット社会の匿名性を絡めた、
楽しめる娯楽サスペンスです。
アイドルをどこまで登場させるかにも興味がありましたが、
これも考え抜いて、シュミレーションの結果の選択でしょう。
このあたりを中心に脚本されたようにも思いました。
【いもたつLife】
神楽坂

神楽坂を散策しました。
東京はたくさんの顔を持つ街です。
都会として、最新の動きが生まれます。
文化として、古今東西のものが集まります。
歴史を感じるスポットも随所にあります。
それも、江戸初期から近代を抜けて、今に至るまで。
きっとたかだか数キロの中にそれらが密集しています。
隣の駅で違う顔をみせてくれます。
今回の神楽坂、ついでがあってきましたが、ここも東京の香りを感じます。
バグパイプの生演奏を鑑賞つきの一日でした。

【いもたつLife】
ゼロの焦点

人が生きてゆくのは時間の経過を伴いますから、
引き返すことも、やり直すこともできません。
本能は生きることを最重要視しますから、
後悔はしても行動は必然だったのです。
そんな設定は、誰にでもあてはまります。
それが影として背負われて犯罪が行われます。
未亡人の新妻は、それを係わりあった運命として、日向の元で追求しました。
戦後の時代背景を引きずる原点と、都会と地方をめぐる物語の進み方は、
松本清張らしく、引き込まれます。
原作がそんな戦後日本の負の精神を表現し、
小説として発表後まもなくできたこの映画は、
それを映像でとどめていることで貴重さがあります。
当時の情勢は、戦後の復興の一過程で、それを映像の力が細部までとどめました。
日本映画が盛んなころ、多くの作品ができたことで、
後世へのたくさんの議論の種が残せていることをこの映画でも感じました。
【いもたつLife】