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ブログ 今日のいもたつ

時の重なる女 2009伊 ジュゼッペ・カポトンディ

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お見合いパーティーで知り合ったカップルが、
強盗殺人事件に巻き込まれます。

男は元警官の警備員、豪邸を警備していましたが、
何故か彼女をその豪邸に呼んだ日に限り、
セキュリティをはずし、強盗が来るという偶然が重なります。
警察は彼女を疑いますが、
男が撃たれた流れ弾で、彼女も傷を負っています。
彼女は事件にかかわりがあるのか?
というお話です。

映画(物語)のつくられかたが凝っています。
真相が徐々に明らかになりますが、
それは彼女の夢の中ということで、どこまでが真相かの疑問が、
映画中盤に投げかけられます。

その後、夢の中の出来事が現実と非現実に分けられていくのですが、
今のシーンは本当に現実かを観客は引きずります。

言い方は悪いのですが、ネタ以上に緊迫感があり、
謎めいた展開になる演出です。

序盤の伏線が回収され面白さとなるところと、
あくまで、夢の中のこととして、現実ではないとして残すところも、
ミステリーの度合いを高めます。
すっきりしないともいえますが、観客に委ねているのでしょう。

放蕩娘を受け入れられないけど、父はやはり親心があることをさりげなく見せたり、
愛するがゆえに、真相を心にとどめる元警官の姿等、
頭でわかることと、行う行動は大きく違うけれど、それが人らしいシーンや、
倫理観や、良心と反する行動をとりながら、でもやめられない苦悩の主人公を観ると、
テーマは人が持つ矛盾の肯定なのかと感じます。
その観点で振り返ると、映画のつくり方はしっくり腑に落ちる気がします。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時: 2012年11月10日 07:37