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ブログ 今日のいもたつ

魔女と呼ばれた少女 2012加 キム・グエン

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アフリカ、コンゴの内戦の犠牲になった少女の物語です。

12歳の主人公の少女は、反政府軍(ゲリラ)に無理やり両親の銃殺を強要されます。
そして拉致され兵士として教育(というよりもロボット化)されます。
過酷な労働と訓練と樹液(麻薬)による洗脳です。

麻薬のために敵を見つけることができる能力が備わった少女は、
魔女と呼ばれ、ゲリラのボスに可愛がられます。
しかし、ゆくゆくは殺される運命になることを知る、
彼女を慕う少年は彼女と逃避行します。そして結婚を願います。
二人の淡い恋は成就しますが、それはひと時で、
二人はゲリラに見つかり少年は死刑、少女は部隊長の慰み者にされます。

悲惨で残酷な物語で、しかもドキュメンタリーのような映像で、
しっかりと見つめられなくなりそうなのですが、
映画のスタートが少女の回想なので観ることができたという感じです。
それと、少女が結婚の条件に出した難題に、少年が取り組む姿の温かさや、
少女の能力で観る幻影の夢を表現しているところ等の、
息抜きがあるのも凝視できた一因ですが、
それらがあるから故に悲惨な現実も浮き彫りになります。

毎度のことですが、犠牲になるのは弱気者です。
ゲリラは何のために戦争を、略奪を、恨みを晴らすのかがわかりませんが、
そこに少年少女を巻き込む正当性はゼロです。
これは物語ですが、現実そのものです。
やりきれなくなってしまいます。

少女はこれからの人生を歩む上で、生まれた村で両親を葬ることで、
過去との区切りをつけようとします。
その旅には、産んだばかりの部隊長の子と一緒です。
両親の殺害を強要、慰み者への強要に憎き部隊長の子です。
その子に夫(恋人)だった少年の名を付けます。
それはこの悲惨な物語を観ている者への希望であり、
彼女(母・女)の強さです。

ラストは泣かすのではなく、人の強さをみせてくれました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時: 2013年08月10日 07:45