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ブログ 今日のいもたつ

噂の女 1954日 溝口健二

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溝口監督の作品としては軽いタッチです。
しかし内容は濃いです。

母は京都のお茶屋兼女郎やを切り盛りしている逞しい女、
娘は実家の職のせいで失恋し自殺未遂、
東京から憎い実家に戻る所から物語は始まります。

母と娘の成長記です。
印象的だったのは、ラストに娘が京都の言葉を使い始めることです。
母役の田中絹代の演技はとても良く、言うことなしですが、
娘役の久我美子が遊女との接し方が徐々に変化して行くのが見事です。
最初の眼だけでの接し方から、途中の介抱のシーン、そしてラストと、
映画ではワンシーンですが、その奥に日常の時間があることを充分に伝えます。

他にも見所が多く、個人的には溝口監督は凄いと、
作品を鑑賞するたびに感じます。
セットやカメラワークも含めて。

余談ですが、
我が家に振り返って、親離れ子離れのありようも感じました。

【銀幕倶楽部の落ちこぼれ】

日時: 2010年04月11日 10:09